Chap.9 10th February 1864

 エディは実験室で頭をかきむしる。

 たどっていけばいくほど、ナナの親愛の情が恋慕に似たものに変わっていることがわかる。

 ベリンダを羨んだり、己といる時間を幸福と思ったり、些細なことで胸を高鳴らせたり。

 夕食。エディはナナに言う。

「恋人ができた」

 そういうと、ナナは目を見開き、そして、手を打った。

「おめでとうございます!お祝いをしなければなりませんね!」

 そこには喜びしかない。当然だ。エディは食事に手を付ける。

「嘘だ」

「嘘ですか」

「ああ、忘れろ」

 ナナは首を傾げた。

 やはり違う。無理やり覚えさせた恋慕の情とは質が違う。これは偽物だ。

 誰だ、どうやって作った、何が違う!

 エディは奥歯を噛み締める。

 己には作れなかったというのに!

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