20スラ みすたぁドリラーたたき! スライムさん

「ピヨーン!」


 ギューン ギュンギュン ギュオォォー


 ピカーン!


 ギュワオォォーーン ヒュゴーーーーー


 ドカーン!


 ギュロロロ ゴゴゴゴゴゴ


 プッシャァァーー モコリ


「ピヨ?」

「ぴよこさん、でたー!」

「やー、土の中を進んで来たの?穴をあけたとこから随分離れてるわ」

「ピヨ~」 テレテレ


うん。

ウォーリー邸の意外と広い庭。

青空が広がる陽気。午後の日差しがあったかいね。

オトナの事情で「お外で遊びなさい」命令を遂行中のベル、ローズ、ぴよこ。

もちろんローズは引率係兼任だ。

気が付くとあっちへウロチョロするベルが見事にとっ捕まっているシーンが何度も見れましたよ、ええ。


んで、今ナニ遊びをしてるかってーと。

ぴよこがマッハで空中へ射出。

雲の上から自由落下。

そののち加速、音速超えた辺りでドリル回転。

大地に激突&そのまま地中にドリルった。

地下をドリルながら適当な地上へ向けて上昇。

ドリルが効かない地表に届いた瞬間、ドリルった土が真上に噴出。

ヒョコッと頭をだすぴよこ。

そんな遊び。


その間のベルさん。

垂直発射されるぴよこに大喜びで、ぴょこんたぴょこんたと回転をかけながら、両手を上に挙げ飛び跳ねる。

万歳仰天回転、もしくはバンザイウレシロールと呼ばれる48の感嘆技が久々に登場だ。


空の彼方へキランと光ったぴよこに思わず感嘆符をつけて驚きを表すベルさんと、ぴよこの能力に驚くローズ。


「ぴかった! おそら、ぴかった!」

「ヒヨコさん、あんなに高く飛べるのね~」


そこから黄色い光は器用にジグザグと光の軌跡を描きながら地表に向かって突撃トテチテター。

爆音が後から聞こえとりますがな。


ドリル回転を加えたぴよこはレモンのような形になりながら地表へズッポリ。

クレーターになんないなぁ。

ぴよこ直径で見事に穴があいとります。

衝撃波どこ行った?マッハ出てたぞ、あれ。

外部影響与えないってムダに技術力高いなぴよこ。

シュババババと穴から土くれの噴水。

水芸ならぬ土芸。

ズゴゴゴゴーと土の中を掘り進んでいる音がしとります。

まぁ、地面を振動で伝わってるんですが。


そんなオモシロ状況とあれば、幼児が食い付かないハズはないのですよ、奥さん。


「あしのした! ごろごろしてる! ごろごろしてる!」


ナゾの振動に魅了されたベルさん。

振動の方向を追いかけアッチへウロウロこっちへチョロチョロ。


「ちょっと、ベル! 危ないからウロウロしちゃだめよ! ヒヨコさんが出てくるまで待ちなさい!」


あまりのウロチョロ具合。

とうとうローズに襟首ひっつかまれて回収。


途端にプッシャァァーーと、さっきまで平面だった芝生から土の噴水、この場合は噴土か?まぁソンなのが発生。

噴土が収まった後に黄色いボールがモコリと。

まだベリーの薄紫色が取れてないぴよこ頭がこちらの様子を伺っているぞ!


「ピヨ?」

「ぴよこさん、でたー!」


冒頭に続く。



なんか、こういう場面転換的隙間にアイキャッチ入れたいよね。

(☞゚ヮ゚)☞

場面転換完了。



そんな遊びを五回繰り返し。

お庭の芝生は十個の穴が良いトラップ具合になってます。

そんな現在。

お子ちゃまたちの様子はと言えば。


「ぴよこさん、はやいはやいー!」


キャッキャとベルが喜んでいます。


「すごいわね。どんどん早くなってるわ…。って、ヒヨコさんが沢山に見える…」


モグラ穴ヨロシク、ぴよこ穴。

制作者のぴよこが穴に入り込み、他の穴から顔をだす遊びを始めくさりやがりましてございまする。

速度と精度。

ぴよこ、穴から顔を出す速度がね、どんどん早くなって残像が二、三ぴき出てたのよ。

それが五、六ぴきに増えた。

穴から顔引っ込める度にシュポンって音が聞こえてたんだけど、今はシュポポポポーーって具合。

そりゃ、ベルさん大喜びですわ。

その喜びようと言ったら、その踊りに尽きますわ。

左右の握った拳を上下にフリフリしながらキィング♪キィング♪キング芸名~♪と口ずさみ、オシリもフリフリである。

これは…。48の感嘆技であるオバーマーンキィング芸名が炸裂した!版権的に!

白トミーが来ちゃうよぅ。黒トミーになっちゃうよぅ。


 シュポポポポポポポポーーッ ピタッ


全ての穴からぴよこの顔が見えるようになってた加速装置感。

見えてるぴよこが一ピキずつ減って一つに集約。

芸細かいな、オイ。

いきなり止まれるぴよこの慣性ってどーなってんの?

ん?知らない?…そーすか…。


「おまえらナニやってんだ?」


ピョコンピョコンと言うより、蒼いゼリー状の球体が自発的にボムリボムリとバスケットゥボゥルをネイティブ発音でドリブラーされるかの如くやって来おった。

明らかに招かざる客だ。


「うぉいっ! ダレが招かざる客だ⁉ ちみっ子たちの様子見に来てんだよ、オレは‼」


キャラじゃねぇ。


「やかましーわ‼」

「すらいむさん、だれとおはなししてるのー?」

「また精霊とかいるのかしら? 空中に向かってミヨンミヨン伸びたり縮んだりしてたみたいだけど…」

「ピヨ? ピッピヨピー?」


ホラホラ、見えないダレかとお話しちゃうイタイ人、いやさ痛スライムになっちゃってるよん。プクス


「このヤロー…。最初は信者みてーだったのに何時アンチになりやがったんだ?」


この程度でアンチとか言っちゃうんだ。コミュニケーションレベルだってばよ?

沸点低すぎーw そんなじゃ、ネットなんかできませんよーってw


「コイツ、いちいち腹立つな」


フヒヒー キレちゃう?キレちゃう?この程度でーw

不適切発言ですね。本来の業務を全うする気概も、以前の失敗を生かしてもいません。これはもう一度リコールした方が良いかもしれませんね。

は?へ?ダレ?なんで地の文にダレかいんの?

ホムンクルスがなんで?ん?ホムンクルス?なんだ?デジャヴュ?ウッ、頭が…

アタミャガガガ――ピーガーガーギュポン――ふむ。これで良し。


「エリー…。お前も地の文に入ってきたりと自由だな…」


いえいえ、この程度は淑女の嗜みとして宮廷作法で学んでおりますのよ?


「なんで、これ見よがしに貴族っぽい受け答えなんだよ…」


前世ネタです。


「そっすかー(白目)」


ボク、地の文。スライムさんと仲間たちが楽しんでいるところを読者に判り易く説明しちゃうぞ☆


「…。…エリー。」


なんですか?スライムさん。


「地の文にナニした?」


大したことはしておりませんよ?ちょっとロボでトミーな手術を施しただけですもの。


「そっすかー(白目)」


それでは、場も落ち着いたようですので、私は引き揚げさせていただきます。では。


「おう、サンキューな」


スライムさんと、楽しそうにお話してたキュートな妖精エリーは大人の話をしに帰っちゃった。

うーん残念だね!


「うわー(地の文キモイ。エリーはちゃっかり妖精とか呼ばせてるしよ。引くわー)」


あれあれ?子供達はアッチでヒヨコさんと遊んでるぞ~!?

スライムさんがポヨンポヨンと近付いてった。

プルプル震える蒼いゼリーが陽の光を浴びてサファイヤのように輝いてる!ピカリ☆


「(調子狂う地の文だな。無視、無視。)」

「うおーい、おまえらナニやってんだ? 庭穴ぼこだらけの土塗れにしてよ」


子供達は次々と違う穴から顔を出すヒヨコさんを捕まえる遊びをしているみたいだよ!


「すらいむさん、おはなしおわったのー?」

「おう。万事OKだ。なんだこの穴。ぴよこ、オマエか」

「ピヨ~」テレテレッ

「褒めてねぇよ」


 ガーン プルプルプル スポンッ


「あー、ひよこさん、また潜っちゃったわ」


 ソローリ ピョコ


「ぴよこさんでたー!」


様子見しながら顔をだしたヒヨコさんをベルちゃんが捕まえに行ったゾ☆

今度こそ捕まるとイイネ!


「えい!」


 シュポン スカッ


「またしっぱいした!ぴよこさんはやい!」


今度は後ろにある穴から様子を伺ってるよ!


「ベル! 後ろよ、後ろ」

「うしろー? あ! ぴよこさんいたー! えい!」


 ピョヨヨーン スカッ ピューン


「ぴよこさんすごーい! とんでった!」


 ヒュルルルルル シュポン


「またはいった!」


あー惜しかった!あとチョットだったのにー。

ヒヨコさん、今度は上に回避したよ!大空を羽ばたいて違う穴にダイビング!

まるでオキナーワのダイビング体験に来てインストラクター無視して勝手にダイブするお客さんみたいだネ!


おやおや~?

ヒヨコさん、今度は趣向を変えたみたいだぞ~?

イルカさんが跳ねるみたいに穴から穴へピョンピョン移動しているネ!


「地の文、語り口調がイラつくな。ロボなトミー、失敗したんじゃねーのかコレ」

「スライムさん、どうしたの? ロボなトミーってなんのこと?」

「あー、大したことじゃねーよ。気にすんなローズ。それよりナニやってんだ、これ?」

「ヒヨコさんが空の上から落っこちて穴をいっぱい空けたのよ。その穴にヒヨコさんが出たり入ったりして追いかけっこしてるわよ?」


ヒヨコさんが、アッチの穴から飛び出してコッチの穴に潜ったりしています。

ベルちゃんは、楽しそうにヒヨコさんを追いかけます。

微笑ましいですね。


「…鳥肌立ちそうだ。」

「え⁉ そんなに危険な遊びなの? アレ」

「いや、そっちの話じゃねーから安心しな」


 ピョヨヨーン パシッ ツカミツカミ


「とったどー!」

「ピッピヨ~」


ベルちゃん、ヒヨコさんを捕まえたようです。

両手を上にヒヨコさんを掲げます。

上手く捕まえられてよかったですねー。


「絵本みたいな地の文が続きやがる…。オイッ! ベル! ぴよこの顔面が潰れてムニュっとなってるぞ。持つとこ変えてやれ変えてやれ」

「そうよ、ベル。ヒヨコさんグニュンとなってるじゃない。もっと優しく掴まないと潰れちゃうわよ?」

「うゆ? ぴよこさんつぶれちゃう? たいへん!」


 パッ ボトリ ピヨー ポムン ポムン


「ぴよこ落とすなよ…。幼児は行動が極端だな。つーか、ぴよこ。なぜ跳ねる」

「なんかボールが跳ねてるみたい。スライムさんソックリよ。」

「ピヨッ⁉ ピヨ! ピヨヨ!」

「ぴよこさん、ぴよぴよいってるー。あ!」


 ポムン スポン ヒュー


あらあら、ヒヨコさん。

元気が良すぎて穴に落ちちゃいました。

大丈夫でしょうか、とっても心配ですね。


「音速で木に体当たりかますヤツが、この程度でどうにかなるわきゃねーだろうに」


 シュゴゴゴゴ ヒョコ チラリ


「ピヨー?」

「ぴよこさんでたー!」

「首傾げてあざといな、ぴよこ」


スポン


「ひっこんだー!」


 シュゴゴゴゴ ヒョコ チラリ


「ピヨー」

「ひよこさんでたー!」

「ふん。タララタッタター スライムさんハンマー」ビカビカビカン

「ちょ、スライムさん! 何よ、そのおっきなトンカチは」

「どうだスゲーだろ。軽いし、叩いても痛くねーから幼児が遊んでも安心だぜ。ホラ、ベル。このハンマーでぴよこが出てきたらポカリとたたけ!」

「ぴよこさんをたたくの? いたいよ?」

「大丈夫だ。百聞は一見に如かずだ。ほい、ベル動くなよ?」


 ピコン


「ほんとだ! いたくない! すごい!」


スライムさんがスライムさんハンマーでベルちゃんの頭をやさしくたたきました。

あら不思議。

全く痛くありません。

ベルちゃんはビックリです。

おめめはキラキラ輝いています。


「地の文、うぜぇ! ホラ、ベル。これでぴよこが出て来たらピコピコたたいてやれ」

「おー、すごいねー。おっきいのにもてるー!」


スライムさんからスライムさんハンマーを受け取ったベルちゃん。

両手で掲げておおよろこびです。


思わず48の感嘆技が飛び出しました。

天に向かって両手で獲物を掲げる方天画戟唯我独尊と呼ばれる技、ドンナアイテモイチゲキヒッサツです。

ピョコンタ、ピョコンタと飛び跳ね…ザザ…は、おともだちにも自慢の…ザー…ザザザ…です。

さあ、ベルちゃん!それを…ザーザザザザ…くぁwせdrftgyふじこlp


「あ。バグりやがった。おーい、エリー。地の文壊れやがった。なんとかしてくれ」


スライムさん、いきなり呼ばれましてもこちらにも都合と言うものがあるのですよ?

今も今晩のプレイをどうするか会議の真っ最中なのですから。


「どーでもいいヤツじゃねーか! コッチの方が重要だ! 地の文改造したのはオマエだろ! 瑕疵対応だ、瑕疵対応!」


では再びロボなトミー手術を施術いたしましょう。


「あっと、ちょい待ち。どうせなら序盤の1スラとか2スラ辺りみたいに登場人物に絡んでこない適度なヤツにしてくれ。さっきの地の文はぶっちゃけキモかった」


そうですか。では、余りしゃしゃり出ないように調整いたしますわ。


「よろしく頼む」


アギョガガガ――ビュルルルーガーガーバキン――はい。これで良いでしょう。


長い夢を見ていたようだ。

空は澄み渡り、暖かな春の日差しを届けている。

ウォーリー邸は駅から徒歩5分の立地でありながら、街中の喧噪とは無縁と言ったところだ。

それは敷地面積の広さが世俗を切り離す役を持っているのだ。


そんな隔り空間である芝生の庭には――、十を数える穴が開いている。

ぴよこが音速で抉り取った穴だ。

器用にも地中で通路を形成したようで、アッチの穴からコンイチワしたと思えば、コッチの穴からコンニチワと往ったり来たりの繰り返し。

ほら、耳を澄まさなくても聞こえてくる軽快な音。


 スポン シュゴゴゴゴ ヒョコ チラリ スポン ピコン

 シュゴゴゴゴ ヒョコ チラリ スポン ピコン


ぴよこが穴からコンニチワするとベルがスライムさんハンマーでたたく。

しかし、その時には既にお隣の穴からぴよこがコンニチワしているのだ。

たたくと違う穴から顔を出しているぴよこを追いかけてベルがキャッキャとハンマーを振るう。


「ぴよこさんはやーい! もっとぴこぴこする!」

「ピヨッピヨッ♪ ピヨ~♪」


ピコン、ピコンとスライムさんハンマーが振るわれる音。

ぴよこの薄紫色に染まった羽毛が陽光に輝く。

まるで春の風物詩を見ているようだ。


「(いや、風物詩って…。どうやってもハナシ繋がんねーじゃんかよ…。デグレってねーか?地の文よ…)」


アレ?何時の間にかベルさんがしゃがみ込んでおりまする。

スラハン(略称)が転がされとりますがな。


「おーい。ベル、どしたー? ぽんぽん痛くなったかー?」


穴を見つめる幼児。

その隣の穴からヒョコッと顔出したぴよこが幼児を見つめている図がシュール。


「はい! 待ちなさいベル」


ローズが神速の襟ツカミ。世界が獲れるスピードです。

襟首掴まれた幼児は穴に頭から入ろうとチャレンジしとりました。

さすが随行員のローズ。ベルさんの挙動は事前に察知。


「べるもぴよこさんみたいにする! ひょこってやるのー!」


ジタバタと暴れる幼児もなんのその。ローズの手は緩もう筈はなく。

あ、グリングリン身体捩る挙動が織り込まれた!

これは抑えるのが厳しい…か⁉


「しょーがねぇなぁ。ほいよっと」


スラハン(略称)がミュヨンと伸びてベルさんの身体をスッポリと包みました。

ベルまんじゅう爆誕。


「お? おー! すらいむになった! ぽよんぽよん!」


キャッキャとポヨンポヨン跳ねるベルさん。

穴ぼこ探検隊は巧みに目的をすり替えられた…!つーか興味の対象を変えられました。

幼児が駄々を捏ねたら、他に興味が移るモノを見せるが吉。


「おい、ぴよこ」

「ピヨ?」

「おまえ、あけた穴はちゃんと埋めとけよ?」

「ピヨ⁉ ピ、ピヨ~?」


ぴよこが てつだってほしそうに こちらをみている


「おまえが穴掘ったんだから、おまえが片付けんのは当たり前だろうが」

「ピヨッ! ピ~ヨ~…」


ぴよこが なさけないかおを している


「ピヨ~ピヨッ!」


ぴよこが おもむろにはねをひろげて じめんをすべりだした!


「ピヨヨヨヨ~!」


まきちらされた つちくれが もっさりあつまって あながうまった!


「ピヨー、ピヨ」

「ぴよこ、ナニやり切った顔してんだ。まぁ、やれば出来んじゃねーか。ブルドーザーみてぇだったがな」

「ピヨ? ピヨ~」テレテレ

「だから褒めてねーよ」

「ピヨ⁉」


ポヨンピョン跳ねまわる幼児が視界に入りながら小コントが展開されるのだった…。


(…ナニかが足りない。地の文としてのナニかが…。)

(それはナンだったのだろうか…。)

(ウッ!頭が!ヌググググ~!…ハッ!)

(そうか、そうだったのか。フヒヒヒ。)

I'll be back.


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