世界の王座 ~家族の話~

マナトプス@紅茶王家の家来

~家族の話~

 むかしむかし、小さな山の国に王子様が生まれました。

 王子様はとても乱暴で、兄弟や姉妹達とは仲が悪く、毎日喧嘩をしてました。

 王子様のお母さんも、王子様の事が大嫌いで、顔を合わせれば、すぐにそっぽを向きます。

 だけど王子様には夢がありました。

 それは、魔法を使って世界を手に入れる事。

 世界で一番の王様になりたかったのです。

 乱暴者の王子様の夢を、王子様のお父さんである王様だけは応援してくれました。


「お前は乱暴だが、世界で一番の王様になれる」


 王様は、王子様の頭を撫でながらニコニコと励ましてくれました。

 だけど、悲しい事が起きてしまいます。

 王子様が少し大きくなった頃、王様が病に倒れて帰らぬ人となってしまいました。

 跡取りとなった王子様は、自分の夢を叶える為に魔法を使って戦争を起こそうと考えました。

 お母さんや兄弟、姉妹達は顔を真っ赤にして怒鳴りました。


「お前は悪魔だ」


 だけど、王子様も怒りました。


「俺の邪魔をするのだったら、お前達も許さないぞ」


 王子様は何と、実の兄弟を殺してしまいます。

 弟達の首を転がしながら、笑いました。

 姉妹達も、王子様を恐れて逃げましたが、すぐに捕まってしまい、殺されてしまいました。

 姉妹達の首を一つずつ持って、最後のキスを交わしてあげました。

 お母さんも逃げましたが、王子様に見つかってしまい、許して欲しいとお願いします。


「許しておくれ」


 しかし、王子様は首を横に振って、刀を思い切り上げると、お母さんを一刀両断してしまいました。

 お母さんの血を浴びた王子様は、夜空をずっと眺めました。

 ああ、この星々をどんな所でも見れる世界にしたい。

 バラバラになったこの世界を一つにしたいんだ。

 だから僕は殺す。

 世界を手にする為に。

 こうして、自分の家族を殺した王子様は、戦争を起こします。

 魔法の力で民家を焼き払い、刃向かう者達は皆殺しにして、領土をどんどん広げました。

 人々は王子様を『魔王様』と呼び始めます。

 魔王様は、世界が自分を認めていく事がとても嬉しく思いました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

世界の王座 ~家族の話~ マナトプス@紅茶王家の家来 @Manatops

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ