運なき人生

@naeingsense0

この気持ちはなんだろう。苛立ち、もしくは悲しみ?もしかしたら妬みかもしれない。自分でもわからないこの感情に苛立ちを隠せない。胸がぞわぞわする。何かが蠢いている?原因のわからないこの現象に更に苛立つ。この気持ちが何なのか、この胸の気持ち悪さは何なのか、いつかわかるときが来るのだろうか。いつからかも知れぬこの気持ち、慣れてしまっている自分がここにいる。何故これまで気にかけなかったのか?はたまた気づきたくなかったのか?疑問に疑問を投げ掛ける。こんなこと思うのならいっそ居なくなってしまいたい。ただそれだけ。


ある日の放課後。いつも一緒に帰っていた友人がカラオケに行くと言う。それもあっさりと。少しくらい気にかけても…と思っていた矢先とあることに気づく。胸の奥で気持ち悪いものが蠢いていることに。気づきたくなかった、心の中ではそう思う。心の中では気づいていた友人と自分は違う生き物であると。気づきたくなかっただから気づいていない振りをしていた。どこから差が有ったのだろう。友人とは学力は自分の方が上で、趣味などは友人が上だと決めつけていた。どこか自分と似ていると自分を重ね接し合っていた。しかも小さい頃から。どこで差が出たのか気になったとにかく気になった。そして考えた。そこで、たどり着いたのは運。そう運だ。友人は生まれつき運良く顔が良く産まれ、お金に恵まれている家庭で運良く育ち、運良く高校で気が合う人と出会い生きてきたのだろう。そこでもう差がついていた。自分と友人の差はもう二度と同じ高さにはならない程に。運には逆らえないと知っていた、気づいていた、気づきたくなかった。自分とは正反対の人生だった。ただそこにある幸せと共に。それで十分だった、それが常識だと思っていた。小さい頃から気づいていた、自分の家庭は余裕が無いことに。他の友人たちはお小遣いを沢山もらっていた、だが自分にはお小遣いという概念はなかった。気まぐれにジュース代として百円もらうのがお小遣いだと思っていた。それは違った。自分の知っているお小遣いと世間のお小遣いとのずれに気づいていた、気づいていない振りをした。知っていたから。自分の家庭はろくに漫画も買えない程かつかつな生活、だが友人は漫画どころか欲しいものすべてをお金で手に入れていた。いつからか自分はそれに嫉妬していた。自分も欲しいものは沢山ある、だがそれは手に入れられない。だからバイトもしようとした。だが自分の通っている学校は禁止されている。もしバイトをしたことがバレた場合それは自分の罪として履歴書に残る。それは自分で自分の首を絞めいるのと同然。諦めた。もし自分が裕福だったらなと思ってしまったりしてしまうときもある。こう言ってはあまりにもあれだが運が悪かったとしか思えない。産まれる前から運によって人生が変わることを決めつけられている。しかも自分は生まれつき運が悪い。席換えもいつも前、くじなどもすべて外れなど何もかも偏る。運が悪いだけで人生が揺さぶられる嫌なことだ。だから運が良い友人に嫉妬する。席換えはいつも後ろ、くじは当たりばっかそんな友人に嫉妬と共に怒りさえもおぼえる。


だが自分は今の生活に嫌だと思うことはない。幸せに生きているそれだけで十分、運はとっくの昔に諦めている。

でもこの人生生きるためには運が一番必要。これからどうなるかはわからない、人生は運と生きていきたい。

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