16日目 歳の離れた友達

ひとまず話は現在に戻る…



ーー世界が終わるまであと55日




「ごめんね隼人君、昨日は一日中お話してしまって」「いえいえ、父と夕神さんの両親に繋がりがあったなんて知りませんでしたよ」「私も両親から聞いただけで直接会った訳ではないからね」「母はこの事は知っていたのでしょうか?」「君の母親は知らないと思うよ、国際警察との関わりがあったのは」「父は話さなかったのですか?」「話さなかったのではなく、話せなかったのだと思うよ?」「どういうことなんですか?」「それも含めて、また明日詳しく話したい」「今日じゃダメなんですか?」「悪いが今日は君に見せたいものがあるんだ」夕神はそう言うと、ホログラムの剣を出現させた。「これはサイバーソードといって、HTDCで開発されたものなのさ」「その剣…あの時の…」「どうかしたかい?もしかして、この剣のことを知っているのか?」「いえ…ゲームとかで見たことあるような剣だなって思っただけです」彼はサイバーソードを見たことがあった。10日前に化け物と出会った時に渡された物と同じだったのだ。(あの化け物は国際警察と関わりがあるのか…?)「大丈夫かい?なんか考え込んでいるけど…?」「いや…!大丈夫ですよ、それって凶器になるんじゃないかと…」「大丈夫だよ、これは人を気絶させる効果はあっても、死なせたりはしない物だよ」「…ホログラムの物体とか切ったり出来ませんか…?」「その通りだよ!よく分かったね、これはゲームのようにホログラムの敵などを表示して倒すことも出来るのさ」あの時の敵もサイバーソードが作り出した物だったのだ。しかし彼は深く考えることをやめた。





一通り剣などの装備を紹介してもらった後、二人はご飯を食べることにした。「隼人君は嫌いな物や食べれない物はあるかい?」「いえ、特にこれってものは無いので大丈夫ですよ」「そうなのか…すごいね、私は昔から嫌いな物が多くて母に怒られていたから…」「そうだったんですね、自分は甘やかされすぎていたくらいですから…」「それでも世界の為に行動するんだから君は立派な人間だよ、お互い頑張って世界を救わないとね?」「そうですね…!」話をしながら料理を作る。さながら日常生活の一部のようだが、二人の会話は世界を救おうとする者の会話であった。「出来たよ、煮物と焼き魚だよ」「とっても美味しそうですね!それじゃあいただきます!」彼は誰かと食事をする時間を久しぶりに味わった。「夕神さんも両親がいないのでしたら、ご飯は一人で食べるのですか?」「私はアランとか他のみんなと一緒に食べることがあるけど、NWに潜入している時はそうもいかないからね」「そうでした、夕神さんはNWに潜入していましたね」「今は地球冷却装置を探す名目で離れているけど、常に気を張り続けないといけないから大変なんだよね…」「自分には絶対出来ない仕事ですよ…」「大変だけど、両親の仇の為だからね頑張るよ」「自分もヒーローになるために頑張りますよ!」「ヒーロー…?ぷっ…そりゃあ頑張らないとね」「笑わないで下さいよ!真剣なんですから!」こうして二人は食事をしながら親交を深めていった。両親を失った物同士、友達のように…。






ーー世界が終わるまであと55日と4時間

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