15日目 昼 防衛大臣と国際警察

ーー彼が亡くなるまであと2年




彼は約束通り一人で誰にも詳細は伝えず、休暇という形で国会前駅まで来ていた。「駅に着いたら連絡しますってメールが届いてるけど、こちらからは送信出来ない仕様になっているか…」予定は10時であったが彼は9時には到着し、駅の向かい側にあるカフェで連絡を待っていた。カフェで連絡を待ち、時計は9時50分をまわっていた。ブーブーと彼の携帯が音を鳴らしていた。「もしもし希島です」「遅れて申し訳ないです、まさかカフェで待っているとは思っていなかったので」「…なぜカフェにいると知っているのです?」「本当に一人で来ているのか調べさせて頂いただけです、申し訳ございません用心深い性格なので」「構いませんよ、私も似たような性格なので」「どういう事でしょうか?」「確かに駅前は人目につくかもしれない、ですが普通の格好で立っていれば周りは気にもしないだろう」「確かにそうですね」「カフェなら動きがなく静かな分、人目につきやすく駅の反対側で監視もしやすい」「なるほど、言われてみればそうですね」「…いました、そちらも一人のようなので駅まで向かいますね」防衛大臣と国際警察、お互い命を狙われてもおかしくない身分。特に彼の方は休暇と嘘をついている以上、護衛を呼べない状態なのだ。ひとまず彼は夕神の車に乗った。




「盗聴器や発信機の類いは無さそうですね」「そこまで私が信用ならないですか?」「いえ…こればかりは知らない間にって事もあり得るので、念のためです」「まぁ…信用を得られるのなら良いですよ」「ありがとうございます」静かな空気の中、車が止まり目的地に着いた。「着きましたよ、ここが国際警察の本部です」そこは彼がおもっていたより、広く大きな建物だった。「ここが国際警察の本部…なんて大きさなんだ…」呆然としている彼に、夕神は声をかけて中へと案内した。




彼は入口で改めてチェックを済ませて、夕神についていった。中に入ると、そこには町があった。「中に街が形成されているのか…なんて凄い場所なんだ…」彼は感銘を受けていた、国際警察本部が未来の世界に思えていたからだ。「素晴らしい場所でしょう?10年前に出来た場所なんですよ」「10年前に出来たのですか…なんとも驚きで…」彼と夕神が話しているところに、一人の男がやってきた。「大臣、わざわざご足労頂きありがとうございます」「いえいえ、私も用事があってきましたので…ところでお名前は…?」「大変失礼致しました、国際警察リーダーのアラン・ベルクと申します」(アラン・ベルク 当時33歳)彼はアランから国際警察について。一通り説明を受けた。「…という訳です。」「なるほど…ある程度は理解できました」「後は夕神に聞いてみると良い、詳しく話してくれるだろう」「承知しました、後は私の部屋でお話します、大臣こちらへ…」夕神は彼を自分の部屋に案内した。





「ここが私の部屋になります、ちょっとすいません…」夕神は部屋のチャイムを鳴らした。「はーい、どちら様ですか?」部屋の中から優しそうな女性が出てきた。「ただいま遥、紹介するね?こちら防衛大臣の希島さん」「初めまして大臣、夕神 圭介の妻、夕神 遥と言います」(夕神 遥 当時39歳)「初めまして、防衛大臣の希島 文之です」「部屋の中で希島さんと話をするんだけど大丈夫?」「えぇ大丈夫よ、希島さんは紅茶は大丈夫かしら?」「紅茶なら好きですから大丈夫ですよ、もし頂けるならお言葉に甘えて…」「では中にあるソファへどうぞ」彼は夕神夫妻と話しながら、ソファに座った。「この部屋にはお二人で住まわれているんですか?」「いえいえ、妻と息子の3人で住んでいますよ」「息子さんはどちらに?」「今は学校に通っている時間ですね、どうぞ紅茶です」「そうだったんですね、ありがとうございます頂かせてもらいます」彼は紅茶を飲みながら話を聞いていた。「希島さんも色々私に聞きたいことがあると思いますが、時間ももったいないので本題に入らせていただますね」「誘拐事件のことですね?」「誘拐事件と、その犯人たち…NEW WORLDについて…」ついに明かされるNWの存在。今後、彼の人生に大きく関わる組織の話を…。




ーー彼が亡くなるまであと2年

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