13日目 回想後半 事件の真実

ーー着陸まであと5時間



「我々の要求は、現総理の解任、並びに国会の解散だ!」犯人グループの要求はアメリカに向けられたものではなく、日本に向けられたものだった。「機長に伝えろ、日本まで戻れと…」機長はすぐに管制塔に連絡を取り、飛行機は日本に戻ることになったのだ。「あなた…どうします…?このままではアメリカに着きませんよ…?」「そうだな…アメリカ支部に急ぎで用があるのに…」夕神夫婦は旅行ではなく、国際警察の仕事としてアメリカに向かっていたのだった。



犯人の要求はすぐに日本の国会へ連絡がいった。「犯人グループの要求は、現総理の解任と国会の解散だそうです!」「そうか…私に退任しろということだな…分かった…」(千堂 新 センドウ アラタ 57歳 当時の総理大臣 男性 10月22日生まれ O型)「国会の解散だと…そんなものが許されてたまるか…」「でも…乗客の命が…」「難しいですね…」「このままでは決まりませんよ…」国会では政治家達が集まり、要求を飲むか飲まないかの話し合いが行われていた。機内では乗客が人質に取られている為、国際警察も動くことは出来なかった。「着陸後、1時間までは猶予をやる。ただし、警察や特殊部隊が突入するような動きがあったら、機内に仕掛けてある爆弾を爆破させるからな…」警察や特殊部隊を突入させない為に、犯人グループは機内に爆弾を設置したのだ。飛行機は5時間後に日本の空港に着陸したのだ。



「猶予はあと1時間だ!それまでに要求を飲むんだな!」その頃、国会では…。「あと1時間しかありません…決めていただかないと…」「分かりました、現総理の解任、国会の解散、共に要求を飲みます…」「急いで犯人に連絡を!」「そうか…要求を飲んだか…我々は乗客と乗務員を降ろした後に、この飛行機を使わせてもらう…乗客を全員降ろした時に突入なんて考えないことだな…ドアから乗客に向けて発砲するからな…」警察は犯人確保をしないことにした。乗客と乗務員の安全を第一に考えることにした。



「設計図は見つかったか…?そうか…設計図の情報だけを持ち帰って来てくれ………もしもし、御木です…はい…設計図自体はコピーも写真を撮ることも出来ないようです…これからは内部に私が潜入いたします…はい…はい…もう奴らには用はないと…分かりました…仰せのままに…ボス…」



機内では乗務員と乗客の半分を降ろし終わっていたところだった。「次はお前らが降りる番だぞ……」客室には犯人グループの内、二人しかいなかった。残りのメンバーは操縦室の方にいたのだ。「今なら犯人の二人なら取り押さえられますね…」「そうだな…」「それじゃあお前ら降りる準備をしろよ…?」「今だ!」国際警察の二人は犯人グループの二人を取り押さえたのだ。「なんだお前ら…クソ…」犯人グループの持っていた、拳銃と爆弾の起動スイッチを奪っていた。犯人グループの二人を縄で縛り、他の犯人グループのメンバーも同様に確保していた。「犯人グループの確保も終わったことだし、爆弾を解除して予定通りアメリカに行きましょうか…」国際警察の二人が爆弾を解除しようとした瞬間。(機内の全ての爆弾が爆発する)「ボス…飛行機の爆破が終わりました…はい…(よくやった礼二…)…ありがとうございます…では…」犯人グループ8人 乗客65人 計73人の命を奪ったハイジャック事件。これが夕神、隼人の二人の心に大きな傷跡を残した忌まわしい事件だ。



「夕神さんの両親も、あの飛行機に乗っていたんですね…」「君のお母さんも犠牲者の一人だったのか…」「我々国際警察は秘密裏にこの事件を調べたんだ…すると、事件の犯人の中に警察内部の人間が居てね、警察の立場を利用して、拳銃を手に入れてたり、空港の保安検査場にも犯人グループの仲間がいたことが分かってな…爆弾や拳銃などを機内に持ち込めたんだ…」「なぜ警察はあまり事件を調べなかったんですか…?」「さっきも言ったが警察内部の人間が居たからだよ…警察としてもそれが公になることを恐れたのだろう…」「総理の解任と国会の解散には意味があったんですか…?」「奴らの目的は設計図だよ…国会での注意を事件に向けることで設計図を探しやすくしたんだ…それで設計図を見つけたが、コピーも写真を撮ることも出来なかった為、別の人間を潜入させたんだ…御木 礼二を…」「犯人グループの正体ってまさか…」「そうだ…この事件を操っていたのはNWだ…夕神が潜入したのも親の仇を取るためだったんだ…」「だが、皮肉なことにやっと見つけた設計図は偽物だったと…ワシが入れ替えたからの…政府はこの非常事態に地球冷却装置を開発せざるを得なくなったのだろう…しかし、開発するにあたって偽物だと気付いたのだろう…そのため、NWの奴らは行方不明になったワシを怪しく思い、探しているのだろう…」「秘書の礼二さんが事件の黒幕だったのですね…」「あぁ…奴らの企みを阻止する為に、すぐに開発をして、すぐに処理をしてしまおう…」「兵器を取り付けなければいいんじゃないですか…?」「先ほど、設計図を開発者たちに見せたのだが、兵器を取り外すと地球冷却装置としての機能も使用出来なくなるみたいだ…」「仕方ないですね…見つからない内に開発して、世界を救いましょう。」「そうだな…早速開発に取り掛かろう…」遂に始まった地球冷却装置の開発…世界の運命は彼らの手に託された…。



ーー世界が終わるまであと57日と4時間20分

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