13日目 回想前半 忌まわしい過去

ーー世界が終わるまであと58日



「ここが国際警察の本部だよ…」彼らは国際警察の本部にやって来た。「ここが国際警察の本部なんですか…なんで国際なのに東京に本部があるんですか…?アメリカやヨーロッパの方に本部があると思ったんですが…」「それは日本が安全だからだよ…」「リーダー…!紹介します、国際警察のリーダー…アラン・ベルクです…」「この度は我々の捜査ミスにより、ご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げます…」「いえいえ、そうなってもおかしくない状況だったので、大丈夫ですよ。」「協力感謝する…改めて、アラン・ベルクだ…アランと呼んでくれ。」(アラン・ベルク 53歳 国際警察 リーダー 男性 7月20日生まれ O型)「分かりました…アランさん。」「先ほどの続きを話そうか…国際警察という名前だから、アメリカとかに本部があると考えるのが普通かもしれない、だが外国に本部を置くとなると危険極まりない…その為に安全な日本に本部を置いているのだ…内部の人間が情報を漏らさない限り、危険にさらされることはない。」「もし、内部の人間がスパイだとしたら大変なことにならないか…?」「その点は問題ない…内部に入れる人間は創設メンバーのみだ、後から加入した者は全世界にある、支部での活動になる…創設メンバーも内部での生活を送ることになっているからな…捜査の時は必ず二人以上で行動することにしているからな…」「それじゃあ安心ですね…夕神さんも創設メンバーなんですか…?」「夕神は創設メンバーではないぞ…」「じゃあなんで、内部に入れるんですか…?」「私の両親が創設メンバーだからです…」「夕神さんの両親が…?」「そうですよ、両親はここで私を産んだんです…私はここで産まれ、ここで育ったんです…」「それじゃあ夕神さんの両親は今もここに…?」「いや…両親は亡くなったよ…ある事件に巻き込まれてね…」「ある事件…?」「2年前に起こった旅客機ハイジャック事件だよ…あの事件で両親は…犯人グループに殺されたのです…」隼人の記憶が蘇る…自分の母親の命を奪ったあの忌まわしい事件のことを…。



あれは2年前のことだった。「隼人、仕事で1週間くらいアメリカに行ってくるからね。」「分かった、お土産を買って来てねー。」「分かったよ…春休みだからってくつろいでるのはいいけど、体調管理はしっかりとね…?」「分かったよ、母さん…母さんこそ気をつけなよ…?」「大丈夫よ、母さん強いから…!」(希島 明香里 キジマ アカリ 46歳没 大学教授 女性 8月31日生まれ A型)「それじゃあ母さん行ってくるね!」「行ってらっしゃい母さん。」何気ない会話が、最後彼が母と交わした最後の会話だった。



「久々の飛行機だわ…楽しみだけどちょっぴり不安だわ………私の席は…ここだわ…隣失礼します…」「いえいえ、そんな堅くならなくて大丈夫ですよ。」「ところで、お二方は夫婦で…?」「えぇ…そうですよ、夕神 遥と申します。」「夕神 圭介です…」(夕神 遥 ユウガミ ハルカ 53歳没 国際警察創設メンバー 女性 1月12日生まれ AB型)(夕神 圭介 ユウガミ ケイスケ 55歳没 国際警察創設メンバー 男性 6月8日生まれ AB型)「夫婦で旅行ですか…?」「そうですよ…久しぶりの旅行ですの…」「夫婦円満ですねー」「えーと…お名前は…?」「すいません…私の方は自己紹介していませんでしたね…希島 明香里と申します」「希島さん…」「どうか致しましたか?」「いえ、なんでも…ところでその綺麗な指輪は…?」「…旦那から世界で一つだけの指輪とプレゼントされたもので…」「そうだったのですね…良い旦那様ですね」「はい…けれども旦那は16年前に重い病気で…」「あぁ…失礼しました…何も知らずに辛いことを思い出させてしまって…」「お気になさらずに…せっかくの旅行が暗いに気分になったら大変ですもの…」「そうですか…ところで明香里さんは旅行ですか…?」「私は仕事ですの…大学教授を務めていますので、時々海外に行かなければならない時があるんですよ…」「そうでしたか…出会ったのもなんかの縁ですので、せっかくなので私たちが買った物をどうぞご一緒に」「いいのですか…?では…ありがたく、いただきます」たまたま同じ便の隣の席に座った者同士、どこか初めてとは思えない楽しい時間を過ごしていた。しかし、数時間後にあんなことになるとは…。



(銃声が機内に鳴り響く)「この飛行機は我々が占拠した!殺されたくなかったら我々に従うんだな…そこのCA!警察に連絡しろ!飛行機がハイジャックされましたとなぁ…」二発の銃声により始まった恐怖の6時間…。この後、乗客の運命はどうなるのか…。



ーー着陸まであと5時間

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