切なくなるよな―――おんなごころ

彼女がなぜ亡くなったかは知れない……
けれど、彼女には恋した人がおりました。
それは遠い昔のあの頃……いまだ伝え方も拙く、けれど一生懸命だった彼。
老いも若きも女性ならば誰しもが一度は夢見る「ウエディング・ドレス」
最初は見た目も気持ちもわからないままに拒絶していたけど、なぜか彼女は彼の手から奪う様にして手にしていた。
それから歳月が経ち―――いつしか彼女は亡くなっており、未練あるままで現世へと留まり「幽霊」になっていました。
そして……見てしまう―――自分とは相手が違う想い人の伴侶を。
姿も形も性格も、そして何より名も違う……
頭の中で納得はしていても心で拒絶したため、一度は想い人の妻に憑依するものの
自分の名と違う名を呼ばれ、現実を思い知らされる。

あの時もう少し素直に受け入れていれば……

そうした思いも―――あったかもしれない