第2話

「ハハハハハハハハハ!我は魔王軍四天王が一人!地天のアルフレア!この村には、魔王様の命を討とうとする、不届き者の勇者がいるはずだ。その者を連れてこい!さすれば他のものの命は見逃してやろう。」




«side:勇者»




その日、村に数人の魔族が来た。

いつものように起きて、いつものように畑を耕して、いつものように寝る。

そんな当たり前の日々はあっという間に崩れ落ちた。



数年前、僕の右の手のひらの甲に不思議な紋様が浮かび上がった。

村長はそれを見て、

「勇者が誕生されたぞ!!」

と、大声を出した。

皆笑顔でお前ならやれる!

お前なら頑張れる!

と、励ましてくれた。


家族以外は。

「なんで、なんでうちの子が勇者に!まだ幼いんだ!これからがある!血にまみれるばかりの道を歩ませたくない!」

両親は、二人揃って泣いていた。息子の為に泣いていた。

村長はそれを見ながら、こう言った。

「、、、確かに、幼い。なぜ、儂は喜んでいた?なぜこんなにも無責任に頼ろうとしていた?当たり前だ。こんなにも幼い子供に血の道を歩ませるなど、許されるわけが無い!皆の者!この子が勇者だということは秘密にしてはくれんだろうか?頼む!」

村長は、土下座をしながら、皆の前で頼み込んだ。


「「「「お前は、自身の道を歩めばいい。」」」」


村のみんなは、そう言っても一言一言謝ってくれた。

その日から、僕は勇者ではなく、一人の村人として生きている。



、、、いや、生きていた。


あっという間だった。

ふざけんな!と、つかみかかった青年がその四天王を名乗る魔族によって触れる間もなく、消えた。

切られた、でも、喰われた、でもない、ただ消えた。

初めは皆呆然としていた。

数拍の間を置いて、恐怖が襲ってきた。

「キャーー!助けてー!」

「うわぁぁぁぁ!」

「逃げ、逃げろーーー!」

混乱が周囲を支配していた。

そして、次の瞬間、、、、

「うるさい」

その一言で逃げ惑っていた数人が血飛沫となって死んだ。

誰もが口を閉じた。

人は恐怖を感じすぎると、黙ってしまう。


「もう一度だけ言う。もし、答えないようであれば皆殺しだ。勇者は何処だ?」


誰もが答えず静まりかえった。

そんな中、少年は父を見あげた、すると、手を上げようとしていた。

小さな声で、「母さんを頼んだ。」と言った。




その言葉が聞こえた時、少年の目の前が真っ白に染まった。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァ!」


その少年、いや、勇者の声に応えるかのように天から一筋の光が勇者へと降り注いだ。


「やはり居たか!勇者!!!貴様の命、魔王様への供物としてやろう!!」


魔族が勇者へと飛び掛った。

そして、、、

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