秋のセミ

涼やかで 夕暮れが似合う秋


冬の厳しさこそないけれど

どこか もの寂しい季節


なのに 耳に届いたのは

一匹の セミの鳴き声


ツクツク ボウシ

ツクツク ボウシ


毎年 何匹かいる

ちょっとズレた ねぼすけゼミ

今年も出てきて しまったみたい


ツクツク ボウシ

ツクツク ボウシ


まだまだせっせと 鳴いている

だって それが仕事だものね



出来るなら 教えてあげたい


――もう誰も いないんだよ、と

どんなに鳴いても 終わりなんだよ、と


でも それは出来ないから

せめて静かに 耳を傾ける


精いっぱいに 生きていたことを

自分の胸に 刻み込むように

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