10,教師


「いんちょー」

「なんだ?」

クラスの中で結構天然ボケなのだが成績は良い吉田中・けろ子だ。いわゆるキラキラネームというやつだな。


「この数学の小テスト、なぜこれがバツなんですかねー?」

一目瞭然。ケロ子は習っていない公式を使って解いていた。回答は正しい。なので点数を付ける者によってはマルにするだろう。間違いではないのだから。


「あーー、あのな、どーいえばいーのだろうか、、、

そうだな、、


君が小学校2年位の子の家庭教師をしたとしよう。想像してくれ。

で、3+3+6+12の問題をその子が3+3+6+12=6×4=24と回答した。

君はどうする?」


「えー?合っているからマルだね。しかも2年じゃ九九やっていないのにできるんだから褒めるよ、すっごく褒める。

で、もう足し算はやらない。引き算もちゃんとできるか確認し、できてればもう加減計算はやらないで剰余計算まで一気に飛んじゃうね。」


「で、ケロ子君、話は変わるが、君の周りの大人に、頭が悪くて性格がオレサマで粘着なクズな奴いるか?」


「・・・・あーー、、嫌いだからあまり思い出したくないけど、親戚中から嫌われているおじさんがいる、”あいつは低能なのに成績とかせっこい政治的駆け引きとかだけはすごい”とか言われている。

この間バカソニックの社長になったって皆に自慢しにきた、呼んでもいない一族会議に乱入して。」

「ん?君のうちもバカソニックの大株主だろ?反対しなかったのか?」

「それが、取るに足りない企業の場合、うちは下界に丸投げ管理だから、、」

・・・まぁほぼ国内のみの企業だからなぁ、、一応世界中で売っているけどシェア取れているってほどでもないし、、電工があった頃はまだマシだったが、、


「まぁそれはいいか、、、

で、だ、その糞オヤジがもし君の数学の先生で、君が糞オヤジが教えた範囲より勝手に先に進んで勉強して、クソオヤジが教えていない方法で回答したとしたら、そのクソオヤジはマルを付けると思うか?」

「・・・・・・・・どうだろう、、たぶん、、、バツにするんじゃないかなぁ」

「なぜ?」

「俺はまだ教えてない!!、とか逆ギレして、、、。あ!!なるほど!!それがこの小テストのバツなんだ!!」

「正解だ。おめでとう。」

なるほどーとかぶつぶつ言うケロ子に


「更に言うとだ、ケロ子、おまえはさっきの家庭教師の件ではマルにした。

その差が、人物の差だ。」

「人物、、登場人物、とかの?」


「んーー、この場合の人物というのは人間性とか人間的な器という意味合いに成る。外国語でも同様の使い方をする言語もあるから覚えておくといい。基本、幾分肯定的な使い方をする。

ケロ子、お前は我がクラスに相応しい人物だ。とか肯定的に使う」

「ありがと!」


数学教師の影のあだ名はクソオヤジになっていた。





もし教師が

もしも聡明な者であれば、


「今回はマルにしておく。が、もしこれが入試だったら、もし採点者が私でなかったら、バツにされるだろう。

基本的に学力を計測するためのテストは、”其れ以上を求めない”んだ。

今迄習っているはずの部分の中で、それ以外使ってはダメ、という条件は暗黙にされている。なぜ公言しないのかはわからないけど。

もしその問題も回答も”世界では間違いと判明された”ものであっても、学校でそれが正しいとして教えているものであれば、それに従わなければバツにされる。


君達が大人になって自分でいろいろ知っていき、調べていけば、数多くのそういうことを見つけるだろう。

でも、その時点でも学校で事実と違うことを教えているのであれば、その事実ではないことのみが正解なのだ。

なので、学校を卒業するまでは、そのことを念頭にいれてテストの回答を書くように」

と、正しい諭し方をするだろう。



まず今の教師にそれが出来るものは、、、、

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