第4話 中華


ネコ投げ合い競争というものがある。

飼い主ペアがその飼い猫を一定の距離から投げ合い、落とさずにどれだけ続けられるか?、更に、投猫時の回転数が加算される。

猫をグロッキーさせず、どれだけ長く、しかも飼い猫と言えども気まぐれ、どれだけ猫自身にも楽しませて長引かせられるか?

ちなみに、またたびは禁止である。


見ているとなかなか風情があるように感じる。

風に舞うように優しく投げられ、縦に回転、横に回転、錐揉み回転、逆回転、、、頭からの豪速ド直球もあるが、やはり猫は回転だろうと思う。地上に降り立つ「シュタッ!」が最後の一筆となるはずが、飼い主に優しく抱き取られてしまう儚さ。

猫投げ合い、と言い捨てるなかれ、それには様々な優しさ美しさ儚さが込められているのだ。歴史ある競技には、深く様々な意味があるのだ。




「さて、終わった。 

今日の仕事はここまでにしよう。」

委員長のバイトである。


生活費、学費、親の生活費用他、全て委員長が稼ぎ出している。

ちなみに、今さっきのは広告関係のお仕事。小学生高学年からやってるのでかなりのベテランになっている。

更にちなみに言えば、猫投げなんぞ見たくもないわと心底思っている。猫はモフってこそ、と。



小学生の時分は大変だった。いきなり稼がねばならない状況に陥った。

新聞配達、量がこなせないので賃金安い。ただ、幾分時間をコントロールできるのが良いし、朝の時間を有効に使えるのが良い。本来朝夕集金のセットでそこそこの額になるのだが、委員長は朝だけにした。

日中は掃除など入れられる日に入れられるような仕事を週に何日か。なぜなら学校をサボっていくから、同じ曜日だけさぼっているとあまり具合がよくない。義務教育時は学業だけこなせれば、建前さえあればサボり放題、公務員は面倒を嫌がるという性質がこの際に大変役立った。土日は常雇いの仕事を入れた。


通常、小学生にバイトをさせない。が、そこは委員長、ツテや口八丁でうまく丸め込んだ。

だが、肉体労働、しかも子供、稼げる額なんぞ小遣い程度でしか無い。

なので、学校に行っている時間は教室で様々な投稿原稿を作成していた。主に広告の文言を考えるやつ。あーいうのを書く者達を、、なんとかラーとかターとか言ったか?あーいう詐欺職業はなるたけ敬遠したいので、本当に必要な単語以外覚えないことにしている。だが、詐欺系は収入がいいのだ。世間ではあれを詐欺と認識していないのが驚きだが、でもだから世間体的にはどうどうとできるのが救われる。

程なく特賞を何度か得て、仕事の依頼が頻繁にくるようになった。


小金を得るようになると、投資もどうか?と調べてみた。これも昔から続く典型的な詐欺だから、詐欺る側に回ればかなりいけるはずだ。

しかし、時間に関わるコスパ悪すぎ。

インサイダー情報がふんだんにある大手上層や、財界上層に繋がりがあればいいが、今の両親はそこから排出されたのだ、良いカモにされるだけだ。骨までしゃぶられるどころか、俺にまで莫大借金を背負わすようなことを企むやつらばかりだからな、そういう社会なのだあそこは。


ソレが無く、流れだけを見てやっていく、つまり常に見張っているなど、無意味だ。

世界の中ででかいアクションが発生しそうなとき、その時期を読み、ソレに関連して売り買い等をするのならまだしも。しかし、日本国内ではそれさえもコントロールされているので無理。



広告の仕事先の1つから、「ゴーストライターやりません?」と、話があった。

TVによく出る元政治家、TVによく出る経済学の重鎮、他いわゆる知識人とか言われている者達のが、いくらでもあるという。

これは難しすぎた。一般人達が受け入れられる範囲内の概念の中で、真実から最も遠い決められた結論に向かわねばならない。文は書ける、難しくはない。が、私の脳がそれを許容しない。地球は巨大な亀の上に乗っかっているのではないのだ。詐欺文も、ここまでになると厳しいのだ。



そこそこ稼げるようになり、いろいろなことがルーチン化しはじめたら、委員長はネットで海外を見始めた。

半年も経つと、委員長は中学の委員長になっていた。

ネットでの英語の読みは大体問題なく、書きも辞書を手元に置いておけばどうにかなるかな?というくらいに上達していた。英語がそこそこできるようになってから始めたスペイン語も、語尾変化や時制くらいは正しいものを使えるようになっていた。両方共喋りは未経験だが。聞きに関してはネットで映画を見てそこそこ慣れている。

スペイン語がそれなりになったら、フランス語やロシア語なども入りやすいだろう、と目論んでいた。ちなみにイタリア語はスペイン語に近い。


中1の半ばころに、隣町に大きめな中国人の中華屋ができた。厨房のバイトを申し込んだ。

時給は安かったが、まかない付きで、何より厨房の中国人は日本語はほとんど喋れなかった。

3ヶ月ほどで、メモがなくともなんとか意思疎通できるくらいに中国語(福建省)会話ができるようになった。



そういうことを経て、委員長は今は、家族全員の生活費と学費を自分一人で稼ぎ出している。更に卒業後の様々な計画のために、貯めてもいる。


今回舞い込んだ依頼は、、じゃない、話は、

その中華屋のオーナーからだ。


中国の上の方って結構えげつなく、世界中に進出している華僑達に寄生することが少なくない。

軍や政府情報機関などの場合は、金融界や実業界現場の者達を強制リクルートする、主に脅迫で。

勿論黒社会も黙っているわけがない。

なので、現地で突出した場合や、そいつらの目的の周囲にたまたま自分が居てしまった場合など、接触してくる、脅迫内容を携えて。

中には強者もいて、脅迫してきた奴らのその地域の組織を全て壊滅させ一人も生きて返さず、逃亡した。などもごくタマにはあるようだが。その強さはとてもうらやましいと委員長は心底思った。


で、

どうするの?反撃して全滅させるの?

え?

そうか、まずは何を要求してきたのか、だったね。

中学委員長はちょと先走り気味だったのだ。全滅作戦やってみたかった、ということもあるが。


そのマフィアの拠点を作るために協力しろ、と。

地元に居付いたオーナーの信用を利用するわけだ。


あれ?そう言えば、新聞配達やってた頃の配達先に、何軒か中国人らしい名前の家あったなぁ、、、

と気付いた。

とにかく情報収集と、委員長はその見ず知らずの家数件を訪ねてきた。


その爺さんは丁寧に教えてくれた。(一応女子認識してくれた様子、珍しい事だ。まぁ、中国では刈り上げ男装女子など普通なのかも)

この地域の中国人社会は、昔から「@@」という黒が支配している。ただ、この地域にはその幹部が住んでいるので、組織の活動をこの街とその周辺地域ではさせていない。また、他の組織が入り込むのを阻止しているし、更に、昔からここに根付いている日本のマフィアを実質配下にし、悪事をさせていない。とのことだった。


で、これこれこういうことで、進出しようとしている黒組織がありますよ、と情報を流しておいた。


数日後、バイトに出ると、オーナーが泣きそうな顔で「あの組織が壊滅したらしい」と。

「そこまで頼んでいなかった、、」復讐が恐ろしいのだろう。心配しなくていいと保証しておいた。


完了である。ご都合主義もいいところである!

オーナー、自分の店で雇っている中学生のバイトを怖がってんじゃない!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る