魔法(2)

ここは、町はずれの一角にひっそりとある、一人の魔女と人間の女の子が営むカフェ。

『ウィッチカフェ』

一般のお客様には見えないように魔法が掛けられており、店の前に斜めに置かれてある看板を、まっすぐに直すとお店が現れるという仕組みになっている。


ひっそりと営業しているウィッチカフェには、いろいろなお客様が訪れる。

いろいろな種族、動物、時には一般のお客様も。

仕事の合間に来る人や、ちょっとした観光、常連さんになってくださっている方も多い。

そんな方々の、ちょっとした憩いの場なのです。


さぁ、本日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか?


今日も葵ちゃんに魔法を教えていきます!

では、皆様ごゆっくりおくつろぎください。


「じゃあ、力を込めて詠唱してみよっか」

「はい!」


「天の囁きありて、我が力は開花する」


……………


「うん。ただ力を込めてるだけだね」

「え~~~」

「魔法を使う時は、力を集中させたい場所に、徐々に力を集めていくイメージでするとうまくいくと思うよ」


葵ちゃんが今使うとしている魔法は、体の一部分に力を集め、普段の二倍の力を発揮する事が出来るようになる、という魔法。

故に、腕力を強くしたいと時は腕に力を集め、脚力を強くしたい場合は足に力を集める事で、一定時間強化されるのだ。


しかし、葵ちゃんのような魔女見習いが一気に力を集めてしまうと、体が耐え切れなくなり、集めた力を体の外に逃がしてしまう。

なので、少しずつ力を集め、ちょうどいいタイミングで詠唱を行うと魔法が発動するのだ。


「………天の囁きありて、我が力は開花する」

「?!」


もしかして――


「葵ちゃん、このリンゴ潰してみて?」

「リンゴをですか?私そんな力ないですよ?」

「いいから!」


ぐちゃっ。


葵ちゃん持ったリンゴは、一瞬でぐちゃぐちゃになった。


「成功だね!」

「え、これ私がやったんですよね?魔法で?」

「そうだよ!一つ目の魔法習得だね」

「やった~~~!サテラさんありがとう!」


正直、こんなにすぐに出来るとは思っていなかった。

短くても、一週間はかかると思っていたけど、葵ちゃんには才能があるのかもしれない。


「じゃあ、毎週土曜日に一つずつ魔法を教えるから、自己練習も忘れずに!」

「はい!先生!」


と、本日のウィッチカフェはここまで。如何だったでしょうか?

まさかこんなに早く魔法を使えるようになるなんて。ビックリです。

明日は、ウィッチカフェを開店しますので、どんなお客様が来られるかお楽しみに!

それでは、いい夢を🌙

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