迷子の子犬

ここは、町はずれの一角にひっそりとある、一人の魔女が営むカフェ。

『ウィッチカフェ』

一般のお客様には見えないように魔法が掛けられており、店の前に斜めに置かれてある看板を、まっすぐに直すとお店が現れるという仕組みになっている。


ひっそりと営業しているウィッチカフェには、いろいろなお客様が訪れる。

いろいろな種族、動物、時には一般のお客様も。

仕事の合間に来る人や、ちょっとした観光、常連さんになってくださっている方も多い。

そんな方々の、ちょっとした憩いの場なのです。


さぁ、本日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか?


カリカリ。カリカリ。


この音は、以前にも聞いたことがありますね?

しかし、今日はあいにくの雨。雨の中、わざわざ猫さんが来るとは思えません。


カランコロン。

「クゥゥン」

雨の中、店の前で震えている子犬がいた。

私は、急いで店の中に連れ込み、タオルで体を拭いてあげた。

その後、ミルクを温め飲ませてあげた。


少しずつ体の震えも収まり、走れるくらいには元気になっていた。


「迷子かな?」

「ワン!ワン!」

何故か分からないけれど、子犬ちゃんは私に向かって吠えてくる。


「お腹すいたのかな?」

「ワン!」

正解みたいだ。ちなみに、犬の言葉はちゃんと勉強しなかったせいで、分かる言葉と分からない言葉がある。今になって後悔をしている。


私は、未だに使いこなす事のできないスマホを使い、犬でも食べる事の出来る物を探した。

結果、ケーキを作る事にした。

といっても、犬用のケーキなど作った事がない為、ただただ、甘さを控えめにしたケーキなのだけれど。


「どうぞ~」

ムシャムシャ。ムシャムシャ。


意外にも食いつきがよく、あっという間にケーキは無くなった。


「この子どうするかな……」

「ヘェ、へェ」


子犬ちゃんは、私の事をジッと見つめながら、尻尾を振っていた。


「親が見つかるまでうちで面倒見るしかないよね。よし!今日からうちの看板犬だ!」

「ワン!」

「そうと決まれば、名前を付けてあげないといけないね」

と言ったは良いものの、名前など付けた事がない為、どんな名前がいいのか全く分からない。

「う~~ん。あ!アメ!雨の日に見つけたからアメ!どうよ!」

「ワン!ワン!」

とても喜んでくれている。

「よし!決まりだね!」


こうして、ウィッチカフェに新しい仲間が増えた。

親が見つかるまでの間だけれど、これも何かの出会い。

この出会いが、また新たな出会いを生んでくれるはず。


では、本日のウィッチカフェはここまで!

本日はお客様は来られなかったですが、出会いがありましたね!

明日は、どんなお客さんが来てくれるのでしょうか。

楽しみですね♪


それでは、いい夢を🌙

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