第43話

新たな料理人探しが難航しているようで立候補したのはなんとシングルマザーの侍女さんのお子さんでまだ10歳の子だったらしく1度私の方からまだ早いと断ってくれてもいいのであって欲しいと頼まれてしまったのよね。


この世界は成人年齢も早いけれども昔の地球の歴史にも子供が家業を手伝うという話はよくあったので無下にも出来ないかなとも思っているのだけれどもまだのびのび遊んで学んでいてもいい歳なのよね。

学校などは大丈夫なのかしら?

この世界に来る時にはサンクート様には行こうと思えば大学のような所もあふとは言われたけれども宿屋で働いている時は街中で家業を手伝う子供たちは当たり前にいたし学校の話はあまり聞かなかったのだけれどもどうなっているのかしら?

1度ルッカ様に聞いてみてもいいのかもしれないわね。

とにかくその子に料理を教える事は問題無いのだけれどもやっぱり火や刃物を扱うので親御さんの許可も必要となってくるのよね。

その辺の問題もキチンと双方が納得した上でないと預かれないもの。

次の日早速母親とその子カミル君と面談をする事になったのだけれども、

「じゃあ、お母様は本人の意志を尊重されるという事で間違いございませんか?」

目をキラキラさせているカミル君と不安な様子は全然感じられないお母さんに再度確認をする。

「ええ、この子が何かをやりたいと言うのは初めてでして苦労かけている分本人のやりたいことは出来る限りやらせてあぎたいのです。」

彼女の意思は硬いし本人もやる気満々なのであればこれ以上言うことは無いわね。

「わかりました。カミル君をお預かり致します。カミル君大変な事もあると思うけど自分が決めたことだから簡単に諦めないと約束できるかしら?」

「はい!よろしくお願いします。」

あとは、将来の事も考えて少しは読み書き計算は覚えて欲しいところ。

「カミル君は読み書き計算はどれくらい出来るのかしら?」

「最低限の読み書きは出来ますが計算は苦手です。」

しょんぼりするカミル君、よくよく聞くと母親は公爵家家臣の子爵家の次女で公爵家の騎士と結婚したのだが夫が殉職してしまいシングルマザーとなってしまい親と跡を継いだ長男と折り合いが悪く実家には戻れず公爵家で侍女として働かせて貰っていたそう。

もともと貴族の出なので読み書きは出来るため息子に教えていたが計算は不得意であまり教えられなかったそう。

市場での買い物する位の計算が何とかできる程度だそうだ。


「わかりました。カミル君には私の方で少し計算を教えたいと思います。料理だけでなくその辺もしっかり覚えましょうね。」

やっぱり計算は出来ないより出来た方がいいから料理をする上でも在庫管理などもキチンとしてもらう必要が有るから。

そう言えばロン君はそういうの得意だったけれどウィスター君は最初は苦手だったけれどもロン君が教えてくれて最後にはちゃんとできるようになってたわね。

ちょっと前までの事なのにとっても懐かしくなってしまうがまずはカミル君が

立派な料理人になれるようにシッカリとしなければならないわ。

「は、はい。頑張ってみます。」

苦手な計算を勉強と聞いてさっきの勢いは無くなり少し戸惑ってしまっているわね。

「料理って意外と計算する事が有るのよ。だから必要になるの。そのうち分かってくるから少しずつ覚えていきましょうね。」

この世界では目分量で料理する事が多くだから味もバラバラだったりするよね。

ある程度の量のバランスって有るから多少計算は必要だし買い物にも使うものね。


ひとまず料理人やパティシエの育成が当面の課題になりそうね。

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