第31話

「コレは…」

「出来ちゃいましたね…」

「歴史が変わりますな。」

「アハハハ…」


空間魔法を使って作ってくれた人なんて放心してるわ。

この空間魔法を使える方は実はジョバンニ様の乳兄弟で普段は屋敷の管理などをしていて空間魔法の素質は持っていたものの魔力量も多くないので時間停止のないマジックバックしかも小型の魔物を数匹しまえる程度の物を作れる程度で仕事としては成り立たないのでそちらの力は普段は使っていない方でした。


秘密を守れて空間魔法が使えるということで試しに 古くなって壊れかけていた馬車で実験したのだけれども、結果だけ言えば4人乗りの馬車が8人乗り位にまで拡張されていたのよね。

拡張の過程で座席などもそのままだったのだけれども、2人がけの座席が縦横に2倍になった感じで椅子が4人がけのソファーになっている様にも見えるわね。


窓もそのまま付いていて向こう側が見えているけれども空間の中がい生き物が入るのかどうかマズは可哀想ではあるけど角うさぎと言う小型の魔物を生け捕りにしていたらしくて籠に入った状態でそっと中に入れる。

入れてすぐはちょっと籠を斜めにされて興奮したのか角うさぎは暴れ回っているけれど苦しそうにするとかそういう感じはなさそう。

このまま一刻(1時間ほど)置いておいて生きていればジョバンニ様の乳兄弟のマルセルさんがまず入ってみる事になった。

1度応接室に移動してゆっくりお茶休憩する事になったので一旦咲百合の様子を見に行くことにしたの。


私たちが滞在させてもらっている別館の近くに行くとメイドさん達が必死に駆け回っている。


「何があったのですか?」

胸騒ぎがする。

「ユーコ様!申し訳ございません、サーユ様がいなくなってしまわれたのです。」

青ざめた顔をしたメイドから聞いた答えはとんでもないものだった。


お昼寝をしていた咲百合を覗きに行ったらベットから居なくなっていて探しているということだったけれども長い時間いなくなった訳では無いのでまだ遠くには行ってないだろうと言われたけれども、私も思い当たることろを探して回るが見つからない。


そのうち騒ぎを聞きつけてやってきたジョバンニ様が気配察知の出来る護衛の人に咲百合を探してもらうと先程まで実験していた馬車の辺りにいるらしく慌てて向かう。


閉めておいたはずの馬車の扉が少し開いておりよく見ると籠に入れていた角うさぎを抱きかかえて気持ちよさそうに寝ているのを見つけた瞬間私は叫びそうになるのを必死で堪えたわ。


いくら小型の初心者向けの魔物とはいえ幼い子供にとっては角で刺されたら大怪我になってもおかしくないので刺激して咲百合が怪我をしたら大変だわ。


「えっ…」

気配察知をしてくれた護衛の方が咲百合を凝視して少し驚いた声を出したが私はそれどころではなくいつの間にか支えてくれていたジョバンニ様にしがみついていた。

「どうした?」

「あの角うさぎはサーユ様の従魔になっております。」

「なっ!それは本当なのか!」

横でジョバンニ様が驚いたので何があったのかようやく周りが見えてくる。


「はい、私の鑑定だと従魔の方しか見れませんがサーユ様の従魔と出ております。」

鑑定って生きている物も出来たのね…

サンクート様から直接もらった鑑定能力があるので私は無意識に咲百合と角うさぎを鑑定してみたら確かに咲百合のステータスが表示され従魔の欄に角うさぎ【ふわたん】となっていた。

角うさぎの方もステータスが表示され主人 咲百合(サーユ)となっている。


「ユーコ、従魔ならサーユを気づつける心配は無いから安心してくれ。」

この世界の従魔システムは分からないけれども今は咲百合が安全であるならばまだ実験途中の馬車から早く連れ出してしまわないと。


「あっ、」

若干ふらつく足で馬車に近づこうとしたらジョバンニ様にいわゆるお姫様抱っこをされ馬車の扉の前で降ろしてもらったのだけれども違う意味で動揺してしまった自分が情けないわ。

「さっサーユを迎えに行っておいで」

扉を開けてくれたのでそっと馬車の中へ入り

「咲百合、さーちゃん」

優しく揺すって起こそうとすると角うさぎが警戒の唸り声を上げてしまった。

「う、ん…ママ?」

どこか不思議な力で咲百合が警戒しないのを見て角うさぎもあっさり警戒を解く。

「そうよママよ、さっいらっしゃい。みんな咲百合の事を探していたわよ?」

「うん…」

まだ半分寝ているのわね。

そっと抱きかかえて馬車をおりる。

私が馬車の外に出ると角うさぎも着いて出てくるが周りに威嚇することも無く大人しくしている。


「驚いたな、とりあえず移動しようか。」

護衛の方が咲百合の抱っこを変わってくれ安心したら腰が抜けてしまいその場にへたりこんでしまった。


「ゆーこ!大丈夫かい?」

キラキラオーラを振りまきつつとても心配そうに覗き込んでくれたジョバンニ様に再びお姫様抱っこされてしまい慌てて


「ジョバンニ様、大丈夫ですので降ろしてください。」

こんな姿大勢に見られたら恥ずかしすぎるわ!


「無理をしては行けないよ、大丈夫だから行こうか。」

そうキラキラスマイルで歩き出したジョバンニ様だが降ろしてくれ無さそうなので俯いて大人しくしているしか出来なかったのだだた。

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