第29話

今回はタスマニアさん視点です(*´∀`*)


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先程までユーコさんと話をしていたのだが衝撃があまりにも大きく一緒にいるジョバンニ様も興奮が抜けきらず彼女に貰った企画書を何度も眺めている。


「タスマニア」

私ももう一度企画書に目を通し誰にどう依頼して試作品を作るかと考えに耽っているとジョバンニ様から声がかかる。


彼は王族の血筋で王位継承権も持つ方なのにこうやってただの商人である私ともユーコさんとの縁で繋がりとても良くしてくださっているのには感謝してもしきれない。

「はい」


「彼女には驚かされっぱなしだな。」

企画書をそっと目の前のテーブルに置き今までの新しいものへの興奮の余韻に浸るように呟かれるが私も同じ気持ちだ。

「私も同じです。」


「彼女はいったい何者なのかな。調べたところによるとあの町にふらっと子連れで現れた前の足取りがさっぱり見つからなかった上にあの歳まで魔法を使ったことがなく宿屋で仲良くなった冒険者に教えてもらったようだね。」


ジョバンニ様のそのセリフに背筋がゾクッしてしまう。

もちろん私も同じように調べられているのだろう。爽やかな美男子ではあるがさすが上級貴族だ近づくものは選んでいるということだろう。



「私もあの料理はどこで覚えたのか聞いた時に『もう帰れない故郷の料理なんです』と少しさびしそうな顔をしていたのでそれ以上は聞くことが出来ませんでした。」



「まるで神が使わしてくれたような女性だな。」

ジョバンニ様がどこか愛おしそうにも思えるような言い方をされたが私も彼女はこの国いや、この世界の中ではいい意味での異質な存在である気がするのでその表現は不思議としっくりくるきがした。


「そうならば素晴らしいことですが、彼女が神からの贈り物であれば悪用した者には怒りを買う事になりかねませんね。」

我々はユーコさんの料理のファン同士として彼女を見守ろうとしているが、私利私欲のために彼女を使い潰す輩は残念ながら存在しており、既にジョバンニ様やマイク様と何度かユーコさんの知らないところで排除をしている。

悪用しようとする者は、貴族だけでなく商人も同じなのでどちらの方面からも彼女ののびのびとした子育てかつ料理環境は死守するつもりでいる。


「その通りだ!そこで今後についてどう彼女を守るか、そしてこの企画書を実現させるためにはどうするべきなのかを考えようか。」


そうしてジョバンニ様と私はその後じっくり話し合いひとまずボードゲームの試作品を用意してまた戻ってくる事になったのだった。


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短くなってしまったのでジョバンニ様視点も少しオマケで載せます。


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私はルッカ・ドン・ジョバンニ

ジョバンニ公爵家次男ではあるが母が現国王の妹だったので王位継承権も一応持っているが兄が公爵家を継いだら私は家が保有している跡取りの居ない分家の伯爵になる事になる予定なのでそれなりに責任はあるものののびのびとさせて貰えている自覚はある。


そんな中私の影達から隣の領の町にある宿屋の料理が美味しかったという話を聞きお忍びで食べに行ったのが彼女ユーコとの出会いだった。


料理にも感動したし、彼女の人柄にも惹かれたのだが彼女には娘がいた時にはしばらく落ち込んだのはいい思い出だ。


伯爵家を継いだなら平民である彼女を娶ることはそこまで難しくないので前倒しで継げないかと考えていたくらい彼女が欲しいと思ってしまったのだが、今はそんな気持ちに蓋をして彼女を見守るために同じく彼女の料理のファンである商人タスマニアと色々手を回したりと最近は忙しくしている中彼女が砂糖を作ったのだ。


ただ美味しい料理が作れる女性から一遍色んなしがらみに巻き込まれる事になるだろうが私がそんな事をさせない。

ユーコが娘とのびのびと過ごせるように手助けしていくつもりだ。

いや、下心は…それは無いとは言えないが、守りたいのには変わらない。そしてそれご自分の傍で目の届くところにどんな形でもいいと思ってしまっまっているのはかなり重症かもしれないな…


今日も企画書を渡されたのだが、それが実現したら歴史が変わるくらいの内容だったのだ。


もう1つ娯楽品もあったがそちらはタスマニアが請け負ってくれたので安心して任せられる。


長い時間タスマニアと今後について話し、ユーコの笑顔が見られるのを楽しみにしておるのだった。



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ジョバンニ様 ユーコへの気持ちを自覚していて尚且つ勝手に失恋していたようです(笑)

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