第21話
その後ジョバンニ様は数ヶ月に1度数日この街に滞在して毎晩私の料理を食べに来るのが当たり前になりつつあるのだけれども、本当にあの人は何者なのかしら?
最近ではロン君もウィスター君も宿屋で出すメニューなら大抵のものが作れるようになっているし私も咲百合も生活魔法なら使えるようになっていた。
「そう言えば私たちがこの世界に来てから1年近くになるのよね。」
毎晩の日課のサンクート様へのお祈りの後に色々あったわと考え事をしていると、
『ゆ、 こ、、、由有子』
微かに頭の中で声がした気がする。
思わず部屋を見回してみるがやはり咲百合が幸せそうにベットで寝ているだけで誰もいない。
『お久しぶりです由有子。』
今度はハッキリと聞こえたわ。
「まさか、サンクート様?」
『はい、お久しぶりですね。』
まさかのサンクート様と再びお話が出来るとは思っていなかったのでちょっとびっくりしてしまう。
『由有子、こちらの世界での生活も順調そうで良かったです。それに料理も少しづつ広めて下さり感謝しています。』
「いえ、私の方こそこの世界に来れたことを感謝しております。お陰様で咲百合をのびのび育てることが出来ております。」
いつも心の中でお祈りはしていたけれども会話が出来るのならばちゃんとお礼が言いたかったので言えて良かったわ、
『今日は貴女にプレゼントがあるのです。』
プレゼント?なにかしら?
『どうですか?使い方は分かりそうで良かったです。』
なんと、サンクート様から私がこの世界で頑張っているのと知識を悪用していないという実績から、アプリで料理のレシピしか検索できなかった物が料理関係の検索ならインターネット検索ができるようになっていた。
使い方は慣れ親しんだものなので特に問題なく使えそうだけれども、料理関係でない事を試しに検索しても(表示できません)となってしまう(笑)
今まで調べられなかった事で面白かったのは料理の歴史とか最新調理器具とかは見ることが出来たので、今後ゆっくりみてみましょう。
「サンクート様ありがとうございます。コレでもっとお料理が楽しめそうです!」
『喜んでもらえたのなら良かったです。由有子、これからも貴女のペースで良いので料理を広める活動をよろしくお願いしますね。』
「はい!」
私が返事を返すと嬉しそうに微笑みを浮かべているサンクート様が一瞬見えた気がしたがそれ以降はお返事は無かった。
「ありがとうございますサンクート様、これからも見守っていてくださいね。」
いつものお祈りのように心の中で独り言を呟き眠りにつくのだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「はっ!いっけない…」
和やかに終わった由有子との会話を思い出しながらほっこしてしまっていたサンクート様だったが、実は咲百合にも追加の加護を授けていたことを伝え忘れてしまっていたのだった…
「まぁ、咲百合もまだ幼いしまた今度話が出来る時に伝えれば問題ないわね。」
そう言って伝え忘れた事をまた今度にと思っていると忘れてしまうアルアルだと言うことをのちのち後悔することになるサンクート様だった。
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久しぶりの更新で短めですが、久しぶりのサンクート様との交流でしたw
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