第12話 エピローグ

 人のほとんど近寄ることのない半ば秘境じみた場所に立つアトリエ。

 そこに至る道には真新しい看板が立っていた。


『崖上のカンバス』


 冬の凍てつくような寒気と崖の下にある海から吹いてくる浜風とでこの辺りはとても寒い。

 だがそんな寒さを感じさせないほどに暖かな空気を感じさせる二人の少女がそこには住んでいた。


「ねぇねぇ、カノコお姉ちゃん。今日もとってもお外寒いけど、海の絵が描きたいの! それでね、それでね。暖かいミルク作ってくれる?」

 

 一人の少女がおおよそその年齢には似つかわしくない口調でカノコお姉ちゃんと呼ばれた少女にホットミルクをねだる。


「ええ、もちろん! お姉ちゃんが愛情込めてとってもおいしいホットミルクを作ってあげるからね。リコち」


 少女はそれにやさしく答え、一度強く抱きしめてからマグカップを用意しミルクを温める。


 この人のほとんど近寄ることのない半ば秘境じみた場所に立つアトリエには二人の仲睦まじいが住んでいた。

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マクガフィン 白と黒のパーカー @shirokuro87

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