第26話 エッ致団結


「じゃぁ……セカイくんをこうやって弱らせているうちに何とか倒しちゃえば……」


「ッ!?」



 そう、もしそれができたなら、私たちは再び元のあの楽な学園生活を……



「ちょ、ま……一時退避ッ!!」


「「「「「逃がすなぁ、今のうちにやっつけろおおおおお!!!!」」」」」



 こうして、絶対に勝てないと思われた戦争ゲームで見つけてしまった、セカイくんの弱点。



「へへ、そういうことなら! おっしゃ、男子共、あとであーしの裸見た奴はまぢで金とるからな? そんかわり、ほれ、セカイく~ん。あーしの身体見ていいぜ? ほらほらほらほーれ!  つーか、校長に交渉してくれるんなら、あーし一発ぐらいヤラせてやってもいいじゃん? あーしテクやべーから♡」


「ッ!?」



 うおおおお、指でどこを広げてるの、ヤリィマンヌちゃん!?

 しかも、今度は回れ右して、お尻をフリフリふって……それはもうエロじゃなくて変態さんだよぉ!?



「へへ……ほら、もっと見てみ? 揉んでみる? 舐めてみる? そ・れ・と・も~♡」


「ッfjうぇq;fじぇあおcl!?」


「「「「ぶほおおおおおっ!?」」」」



 自分でおっぱい揉んでは……自分の……ぺろりと……セカイくん以外の男子も鼻血ブー!? 



「ええい、あーしだけじゃだめだ! 女子は皆、こいつに見せてやれ! 乳を! 尻を! 溝を! そうやってこいつを弱らせちまえば……へへへへ♡」


「や、やめろおぉぉぉ、裸になったら……うえ、り、リタイアだ! リタイアしたやつはもう出てくんなぁ!」


「はん。戦争なんだ。裸になったぐらいで待ったするわけねーし♡」


「や、あ、あっちいけええ、このビッチが!」


「ビッチだしぃ~♡」


 

 お、恐ろしい……開き直ったヤリィマンヌちゃんってこんな……っていうか、同じ歳なのにどれだけ人生経験違うの?


「よし、ヤリィマンヌが色仕掛けしている間に、俺らでセカイくんを攻撃だ!」

「おいおい、マジで勝てるんじゃないのか!?」

「いけ、逃がすなーっ!」


 でも、開き直ったのはヤリィちゃんだけじゃない。

 あともうちょっとで、セカイくんを倒せるかもしれないと知った途端……


「おい、連携攻撃だ。相手の動きを読み切って……よし、やるぞォ!」

「つか……ヤリィマンヌの体……まじえろ……って、おい、俺らいま、やばいことに……股間……女子にバレたら変態とか言われて軽蔑され……ぐっ……」

「ぐ、見たい……でも、今は……よし、目を瞑って……って、それじゃセカイくんに攻撃当てられない!」

「男子、目ぇつぶんなさい! ううん、目隠ししなさい! 男なら目をつぶっても戦えるぐらいやりなさいよ!」

「セカイくんの巨大な魔力を感知するんだ! この前、授業でやってただろ!」

「女子が男子の目になって、それを指示するわ! 中距離魔法攻撃でもやんなさいよ!」

「距離が離れてると威力が……そうだ、二人以上で同種の魔法を放って強化すれば……合成魔法で!」


 なんか……みんな、声が良く出るようになった。


「くそぉ、ここまで見られたら……もう何も怖くねーぞ!」

「そうだ、あとちょっとなんだ! 意地でも勝つぞ!」

「やってやる……うおおおお!」


 そっか、「恥ずかしい」よりも「今がチャンス」っていう気持ちの方が大きいんだ。


「よっしゃ、あーしと一緒に裸見せていいセクシー特攻部隊結成して、セカイくん襲ってやろーぜ!」

「も、もうやけだもん! 私だって裸……、先っぽの形には自信あるんだから! ねえ、き、綺麗でしょ? ピ……ン……ピンピンだよ? ピンピンおっぱいびーむ! よ、よろちくび!」

「うぅ、私まで……でも、ここまできたら……せ、セカイくん! わ、私、お尻……ともだちから、ぷ、ぷりぷりって褒められるの!」

「うぅ……ローリのからだ……ぷ、ぷにま――」

 

 そう、これは全て始まり。

 そして、私は初めて見た。

 どんな形にせよ……

 


「な、なんですか……これは……全員変態です!!」


「あはは……アネストちゃん……どうする? っていうか、ちょっと待って!? これがセカイくんの弱点なんだとしたら、私のパンツ見たとき無反応だったじゃん! セクシーじゃないとだめなの!? セカイくん、もっかい私のパンツ判定お願い!」


「……言っておくけど、私は脱がない……でも……あら? なんか、今までやる気のなかった無気力な皆が急に……」



 そう、初めて。

 今まで、「だりィ」、「めんどくさい」とかが口癖な私たち三ゆるが、皆で力を合わせて一つになっている。

 初めて……セカイくんには悪いけど……なんかすごい!


「こいつら……エロは差し引いても……やる気出したらそこそこ……ゆるくて、弱くて、草食で……だが……素質がないわけでもない?」


 何だろう。

 私たちの世代はどうしても、死に物狂いで何かをやるとか、必死に何かやるのって、ちょっとメンドクサイとか思ったり、草食だとか積極性が無かったり、何かに対して熱意をもってとかそういうのも無かった気がする。

 何かに対して一生懸命やって、ダメだったらカッコ悪いな~とか、暑苦しいって思われるのも嫌だな~とかを気にしたり……



「「「「「よし、皆で力を合わせて、セカイくんを無力化するぞ!!」」」」」



 でも、皆が裸になって開き直って、人の視線とか、人がどう思うとか、とにかく細かいことを気にしないで、自分の全てをさらけ出したりしたら……


「ま、待てぇ! つか、何でお前らここで急にやる気出すんだよぉおお! おえっ……」


 なんだかみんな、イキイキしている。

 男子だけじゃなくて、友達だった女子ですら、今まで知らなかった一面が見られ多様な気がする。

 そして、こんな日々が良くも悪くも、自然と私たちを更なる成長に繋がるだなんて、まだ誰もこの時は分かっていなかった。



「な……何をやっているんだお前らはあああああああああああああああ!?」


「「「「「あっ…………」」」」」



 そして、騒ぎを聞きつけた先生が現れ、とりあず私たちのクラスはメチャ怒られてしまった。

 私はまだ脱いでないのに!








――あとがき――

この物語はフィクションです。やる気のないクラスの生徒たちを無理やり全裸にしたからってうまくいくとは限りません。


さて、本作とは別にラブコメ短編を書きました。


『私が死んだからって「彼のことは私に任せて!」とか勝手に言わないでよ!?』

https://kakuyomu.jp/works/1177354055227098095


こちら、「カクヨムWeb小説短編賞2020」に応募しました。一話完結の短編なので、是非読んで戴けたらと思います。応援お願いします。

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