第25話 セカイの弱点

「ね、ねえ、ちょっと……なんなの?」

「セカイくん?」

「セカイ?」


 突然気持ち悪そうに膝をつくセカイくん。

 明らかに調子悪そう。

 でも……


「な、なぁ……よく分からねぇけど……」

「ッ! そうか……ああ! 今だ!」


 次の瞬間、私たちがセカイくんを心配しているところを構わず、男子たちが一斉にセカイくんに襲い掛かった。


「ちょ、男子ッ!」

「何やってんの、みんな!」


 訓練用の剣、武器、杖を持ち出して一斉にセカイくんに男子たちが襲い掛かる。

 なんで?

 こんなの酷い――――


「よく分からねえけど、もう始まってんだろ? 戦争で敵は待ってはくれないって、そいつが言ったんだ!」

「つまり、今のうちにそいつを倒しちまえば……元の学校生活だ!」


 そういや、そうだった!?

 そもそもセカイくんが言い出し、そしてもうゲームは始まっていて、ならばと……いや、流石に卑怯過ぎない? 

 セカイくん明らかに……


「そ、そうよ! そいつ……よし、アスリトの仇よ!」

「倒しちゃえ!」


 女子もぉぉおお!?

 ダメだ、調子悪そうなセカイくんに皆が一斉に……


「はあ、はあ……しゃらくせぇ! うるあああああ、全方位・魔障壁カウンターッ!!」


 前後左右。更に上も下も隙間なく、セカイくんは自分の周囲全方位に魔力の障壁を展開。


「甘く見るなよな、シャバ僧どもが!」


 反応速い! 魔法発動も速い!

 魔力の質が、威圧感が、それに力も何もかもが違う。

 何がすごいというよりは、セカイくんはたぶん、全部がすごいんだ。

 障壁を展開しただけで、クラスメート皆の総攻撃を防ぐどころか、逆にはじき返しちゃうほどの。

 で、それはさておき……


「ひっ!?」

「わっ!?」

「きゃっ。衝撃が……ひっ!?」

「うわあああ、ふ、服がぁ!?」

「うわああ、お、俺、シャツが!」

「げっ、俺、ぱ、パンツまで!?」

「いやああ、わたし、うそ、いや、男子まで!」

「いや、見るな男子ィ!」


 障壁に弾かれると同時に衝撃がそのまま皆に跳ね返り、みんなはふっ飛ばされると同時に……男子も女子も関係なく、運動着が刻まれて、下着姿に!?


「「「キャアアアアアアアアアアアアッッ!!??」」」


 こ、これは!


「うお、や、わ、ニプルちゃんのおっぱ……シリオちゃんもぷりっぷり……ローリーちゃん……ぷにぷにちっぱい……くまさんぱんつ」

「っ、や、やべ、おれ、勃……うわ」

「はあ、はあ、はあ、はあ……生えてない……」


 女子更衣室でしか見れないクラスの女子たちの下着姿……中にはブラもパンツもなくなってる可哀想な子も……男子、チラチラしたり、薄目開けてる!

 いや、分かるけど。


「や、やだ、見ないで! 見るんじゃない!」


 必死に胸を隠してうずくまるニプルちゃん。

 大きさは手のひらサイズで普通だけど、とにかく美乳。

 女子更衣室でいつも皆に褒められて、本人も満更じゃなくて、たまにみんなが指先で先っぽを……本人も恥ずかしがりながらも「いえーい、おっぱいビーム」っていう一発ギャグも……でも、それはあくまで女子だけの話。

 男子には見られるのすら初めてなニプルちゃんは自慢の美乳を隠してうずくまってる。

 でも、隠してるけど、美乳さはアネストちゃんとディーちゃんがもっと……


「ちょっ、なんでわたし、お、お尻丸出し!? 見ないでよぉ……うう、デカいって思われちゃう……」


 太っている訳じゃなく、ボンで、キュッ、でボボンなクラスでもトップクラスのプロポーションのシリオちゃん。

 でも、本人は気にしてて……でもプルプルなぷりっぷり!

 だけど、お尻はラヴリィちゃんが……


「やぁだぁ! ぐひん、み、みないでよぉ……えっちなのいやぁ!」


 同じ歳なのかといつも疑っちゃうぐらいちっちゃいお人形さんみたいで、だけどあまりにもかわいいからたまにクラスの女子でウィンドショッピングとかするときの着せ替え人形みたいにかわいがられたり、肌すべすべでぷにぷにで、いっつも皆にいじられてるツインテールのローリちゃん。

 生えてない……私と同じで……


「よりにもよってあの三人まで……」


 一方で男子も……うわ……男の子のお尻とか……うわ……ぷらぷら……ここここ、これはまずいんじゃ!? っていうか、小さいころのにお父さんとお風呂入ったりした時以来……


「うわぁ……」

「いやああああ、なんてドハレンチな!? セ、セカイッ!?」

「なにこれ……もう……最悪……」


 私たちや他の一部の人たち以外は裸裸裸。

 男子には役得じゃ……ううん……


「なによこれ、き、汚……あ、ねぇねぇ……見てよ、タンショーンくん……」

「あっ、顔カッコいいのに……ぷぷぷ……ちっちゃい」

「ッ!? うわ……ムナゲヲのやつ……もじゃもじゃ……きも」


 聞こえてるよ! ってか、男子にとってもこれは地獄!?

 クラス一のイケメンな彼の……え? あんなに小さいの? って、そうじゃなくて!

 いずれにせよ、やっぱり私たちが全員でかかっても、セカイくんには……



「うおええええ、げほっ、が、おえええ、う、うぷ……」


「「「「「………………………あれ?」」」」」



 あれ? みんなを裸にして返り討ちにしたセカイくん……だけど、さっき以上に顔を青く……ううん、もはや白。

 顔面蒼白というか……あれ?


「ちょっと、あんた! んもう、怒った。よくもやってくれたじゃない! まぢで、訴えるつーの!」


 っと、そこで、色々と盛られた髪飾りをした、ふわふわ灰色ロングの女子……みんなと同じようにすっぽんぽんだけど、なんか開き直ったのか、おっぱいもお尻も前も何も隠さない女の子が……うわ……ヤルィマンヌちゃん!?

 うわ、オッパイもブルンブルン揺らし……ブレスツお姉ちゃんやラヴリィちゃんほどじゃないけど羨ましい!


「ちょ、ヤルィさん、隠してください!」

「あんた、男子とか見てる……ちょっと!」


 でも、これは同じ女として……だけど、ヤルィちゃんは怒ってそれどころじゃない。


「はん、今更あーしはこの程度何ともないっての! 処女じゃないんだから、同級生のガキに見られたぐらいどってことないし~!」


 普段からスカート短くて、制服のシャツもお腹出してブラもパンツも見えそうなエッチぃ格好して男子を困らせるヤルィちゃん。

 私たちなんかよりずっと進んでて、エッチな話に詳しかったり経験豊富だったり、体つきもエッチくておっぱいもお尻もボンって感じで、先輩と付き合ってるとか、卒業生の人ともたまにとか、誰かの愛人だとかそういう感じの……



「うぼえええええええええええ!」


「……は?」


「「「「「………………あ?」」」」」



 うん。ヤルィちゃんの身体を見て、セカイくんはまた……なんで? あれ? 

 

「うぷっ!? 離れろおぉぉおお!」


 セカイくんが逃げるように座りながらカサカサと後退。

 ん?

 あれ?

 まさか……



「……セカイくんって……エッチな本とか持ってたり……エッチな話をしたり、冗談言ったり、ブレスツお姉ちゃんの誘惑に引っかからなかったり……でも、本当は……」


「ッッ!!??」


「生で半裸以上の女の子が……苦手!?」



 セカイくんが目を大きく見開いて、ショックを受けているような様子。


「ばかな……俺が……童貞じゃあるまいし……ざけんな……俺が、まさか……あのクソビッチ女どもで……本能が傷を?」


 そして、それは後に私たちも知ることになる、セカイくんのトラウマ。

 あれ? セカイくん……経験あるの?


「え……セカイ……」

「…………なによ……そうなんだ……」


 アネストちゃんもちょっとショックを……ディーちゃんも?

 でも、今は……



「あれ? なぁ……よく分からないけど、そりゃ裸になるのはあれだけど……裸の女子が苦手ってことは……裸になっていいっていう女子を中心にすりゃ……」


「「「「「あっ……………」」」」」



 クラスの誰かが言った一言に、皆がハッとなった。







――あとがき――

今回新たに名前出てきた奴らはただのモブです。たまに逆セクハラするぐらいですので覚えなくてもいいです。

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