第19話 作戦会議
ケーキの問題はさておき……
「でも、実際のところどうするの? どうやってみんなのやる気を出させるの?」
午前の授業が終わっての昼休み。
食堂で私たちと一緒にご飯を食べるセカイくん。
っていうか、昨日初めて一緒にお昼したのに、なんかもう当たり前のようにセカイくんは私たちと一緒だな~。
まぁ、それはさておき問題なのは今日からどうやってみんなのやる気を出させるか。
私の質問に、アネストちゃんもディーちゃんも頷いた。
「確かにそうですね。何度も言いましたが、私が『みなさん、真面目にやりましょう』と言うだけでは効果が無いでしょうね」
「ま、普通はやらないわよね」
そう、アネストちゃんもやる気をだし、私とディーちゃんも協力するということになったけど、私たち三人が声を出したって、たぶんあんまり意味がないと思う。
やっぱり、やる気を出させる「何か」が必要になると思う。
「ん? ……アネストみたいにモノで釣るか?」
「べべ、別に私はアレに釣られたわけではなく!?」
「つまり、クラス全員にも何か人参ぶら下げた方がいいってことか……」
見返りか……どうなんだろう。私もそうだけど、それのために頑張る……それを友達のセカイくんに出させる……か……
「なら、男子もエッチ本でやる気出させちゃう?」
「……いや、全部アネストにあげたし……まぁ、また入手すればいいが……だが、相手が男子ならそんなもんよりは……もっといい案がある!」
おっと、急にセカイくんの目がキラリと光った。何だろう、何か名案が?
私も、アネストちゃんも、そしてディーちゃんも、何か思いついたであろうセカイくんに……ものすごい嫌な予感がして……
「娼婦三十人ぐらい集めてクラスの男子たちと泊りの旅行を馬車で行く……『パカパカ馬車ツアー』、通称パカ馬だ! ナマモノの調達はどうか分からんが、まあ金さえ積めばどうにかなるだろ!」
「「「ぶゥゥゥゥ!!??」」」
嫌な予感を超越する提案だった。
「きゃ、却下です、セカイ! あ、あなたは、なんという提案をするのです!? 女性を何だと思っているのですか!」
「ああん? だって、見た限りクラスの男子共……多分、童貞が多数を占めている! ならば、最優秀クラスになったらこの夢のツアーが待っていると提案すれば、皆やる気出す!」
「なんという超絶ハレンチなことを言うのですか! それに、クラスの中には……女子と交際している人もいますし……」
「あ? 童貞じゃないから喜ばないって? んなわけねーさ。恋人居ようとも、喜ぶ奴は喜ぶさ」
「そうじゃなくて、交際している女子が可哀想です。恋人が……そんなハレンチツアーに参加など……」
「じゃあ、女子にも同じの提案するか? 男娼呼んで……」
「絶対にやめてくださいっ!」
もうメチャクチャな発想過ぎて流石にダメだよ。っていうか、セカイくんって私たちと同じ歳なのにどうしてそんな異次元すぎる提案が出てきちゃうの?
私たちの年代なんて、ようやくクラスに一人とか二人とかロストバージンが出てきてるような感じなのに、ランボーツアーみたいな提案って……
「女子はそんなの絶対に嫌だからね」
「ぬっ……ダメか……」
「当たり前でしょ!?」
どっちにしろ、却下。
もうディーちゃんがセカイくんのことをおぞましいものを見るかのように凄まじく冷たい目をしてる……こわ……
「それに、意外とそういうの……男子もやる気出すかどうか分からないわよ?」
「え……?」
っと、そこでディーちゃんが意外なことを口にした。
え? やる気出さないの?
セカイくんもちょっと驚いた様子だ。
「もしそんなゲスなツアーに行ってるとバレたら……学校で……特に女子からどう思われると思う? 少なくとも私たちのクラスの男子たちはずっと軽蔑され続けるし、一生女子から関わろうとしないわね」
「…………なに?」
「男子ってけっこう……女の子の視線とか印象を気にしてると思うのよね。まぁ、それは私たち女子側もそうなんだけど……少なくとも私だったらゲスなツアーに行ってるような男子とは一生関わりたくないわ。そういう印象を、男子が受け入れられるか……」
「そうかぁ? 別に惚れてる女がいないなら、いくらでも嫌われてもいいんじゃねぇか? 女子だって裏で何をやってるか分かったもんじゃねぇし」
「あなたねぇ……。でも、そういうのってバレたら歯止めがかからないと思うし、学校の女子だけじゃなく、先生、それに両親とか近所の人、何よりも就職希望先にでもバレたりしたら……」
あ~、セカイくんは納得してないけど、なんか私は納得しちゃったかも。
たしかに、そんな気はする。
「うん。全てを捨ててでもエロエロランボーツアーに参加したいっていう信念持つぐらいエッチな男の子ならまだしも、やっぱリスク考えちゃうと思うな。特に私たちの世代の男の子はいろんな人たちから、『草食系男子』って呼ばれてるから、リスク負ってまでお肉食べに行かないかも」
「な、なんだそりゃ……三ゆる以外にもまだあったのかよ……」
「うん、そうなの。男の子から女の子に迫るってあんまりないかな。だから、女の子の方から告白したり、彼氏できないって私がよく嘆いているわけで、それなのに、ディーちゃんもアネストちゃんも男子から告白された経験があるとか、こんにゃろう!!」
そう、男の子たちにはもっと女の子に積極的になって欲しいんだよ。お母さんたちの話を聞いてると、昔は男の子たちから告白とかナンパとかデートのお誘いとかいっぱい溢れて恋愛弱肉強食時代みたいなのがあったみたいだけど、私はサパーリだよ。
「んもう、シャイニは……あっ、セカイ! 確かに告白されたことはありますが、断っていますから! 私、交際経験とかないんです。当然、一線を越えるなども無いので、私はビッチの可能性皆無なんです!」
そして、アネストちゃんはもう乙女の顔をしてる……くそ、うらやましい……
「あら、楽しそうね。何を話しているのかしら?」
「わ~、私たちも~仲間に入れて欲しいです~」
「「「「ッッ!!??」」」」
と、白熱した議論を交わしていた私たちの席に、食事の乗ったトレイを持った二人の先輩にして幼馴染でお姉さんにして、巨乳美女と超乳美女が出現した。
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