お掃除探偵おひさ

立花よもぎ

第1話

十数ヶ所目の職場を退職した山田おひさはベッドに横たわり、求人サイトをみていた。

「よさそうなところが全然ないわね…」

飲食店、アパレル、事務、レジ、その他もろもろ様々な職種を転々としたが、元来おとなしく、口数が少なくて無愛想。どこにいっても馴染めず、あまりよろしくない容姿もからかいの対象にされがちだった。

「あら?」ふと目についたページにはなかなか興味深い内容が書かれていた。

○□ホテルの客室清掃の求人です。

*応募条件

・無口であること

・友人、知人がいないこと

・影が薄い人大歓迎!

ひっそりとご応募ください!

「何これ?!怪しすぎるけど、私は条件満たしているし、応募してみようかな…」

おひさはスマホを手にとり、"ひっそり" と電話した。 

「はい。」

電話にでた男はとても無愛想だった。

「あ、あ、あの求人サイトをみ、見て電話をしたした、山田と申します...」

おひさはしどろもどろになったが、所謂コミュ障なので、これが普通なのだった。

「じゃ、来て」

「え?」

「求人サイト、見たんでしょ?来て」ガチャ。

それだけ言うと電話は切れてしまった。

「えぇ...今から?!」

おひさは一時的に呆然としたが、すぐに立ち直り、履歴書を仕上げ家を飛び出して行った。

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お掃除探偵おひさ 立花よもぎ @maud

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