旧ガリア帝国立魔法学園へ

【クリエム海岸:アガレス領から南東の方向にあり、ゼーラント王国と隣接する大陸最大にして唯一の貿易港。海岸線は非常に長く北端はガリア帝国跡地の付近まで続いている。また古代文明の遺跡が砂に埋もれて隠れているという噂がある。】


「そうか……あのローブ野郎がまた現れたか……」

そう言ってルシエドさんは麦酒をグイッと飲んだ。

「ギルドマスター、まだ仕事中です。」

受付嬢が注意するが、ルシエドさんは全く気にしていないようだ。

「全くどうなってんだ……竜種が現れてからエレノアの嬢ちゃんが攫われかけ、オークの大量発生。挙句の果てに二つ名持ちまで現れやがった。」

確かに最近色々な出来事がありすぎる。俺達がこの世界に来てしまったことも関係があるのだろうか?

「飲まなきゃやってられねぇよ……」

ギルドは今日も職員達が休む暇も無く働いていた。

「そう言えば……」

「どうしたんですか?」

「エレノアの嬢ちゃんがゼーラント王国に行くって言ってたな。」

「そうなんですか?」

「旧帝国立魔法学園って知ってるか?短期留学するんだと。まあ貴族領主の孫娘としての責務みたいなもんだろうよ。」

「なるほど……」

「坊主興味あるのか?」

なんでも学園内の図書館はこの大陸中の本が集まっている大図書館らしい。もしかしたら別世界に行くことができる扉の情報も得ることが出来るかもしれない。

「まあ……でもそんな簡単には入れませんよね。」

「それがな。嬢ちゃんの護衛役で一枠空いてるらしいぜ?」

「マジですか!?」

「おう、マジだ。」

これは行くしかない!!

「護衛団は坊主の他に嬢ちゃん専属のメイドとリゼの嬢ちゃんがやるそうだ。」

なるほど、ミーシャさんとリゼなら知り合いだし安心だな。

「今のうちに準備しとくことだな。出発は一週間後だからな。」

こうして俺は日本に戻る為の手がかりを探すため、魔法学園に向かうことになったのだった。


――――――――――――――――――――――――――

「ゼーラント王国ですか……」

アベルさんは少し考えるような素振りをした。

「何か問題があるんですか?」

「いえ、そういう訳ではありません。ただ……」

「ただ?」

「ゼーラント王国は貿易港としても有名な国です。それはつまりもう一つの大陸と接触できる唯一の場所でもあるということです。」

確かもう一つの大陸は戦争中だったはず。

「だからこそ大量の記録物が集うと言われているのですよ。まあ帝国時代は貿易船の書物などを無理やり写本させて奪っていたようですけどね。」

「つまり危険な場所だと?」

「何があるか分かりません。この街以上に警戒していて損は無いでしょう……」

アベルさんは少し悲しそうな顔をしていた。

「……どうしたんですか?」

「いえ短期間とはいえ寂しくなりますね。アリシアも毎日トモヤさんの話ばかりしてますから。」

「そうですね……」

「部屋は綺麗にしておきますのでいつでも戻って来て下さい。」

「はい……ありがとうございます!」


――――――――――――――――――――――――――

「グヘヘ……生命力が美味みとはよく言ったもんだぜぇ。」

「や……やめてくれぇ……」

エイハブ山脈の豊かな自然に隠された里は、たった二人の余所者と一匹によって蹂躙されていた。

「ふむ……このゲカルドゲは当たりだったようですね。」

少なくとも20mはある岩の巨人は、まるで虫を踏み潰すかの様に人間の命を奪っていく。

「旦那こっちはもう終わったぜ!!」

「……やはり力だけはあるようですね。」

「グヘヘっ、お褒めの言葉ありがとよぉ旦那。」

荒くれの男は下卑た笑いを浮かべながら、既に虫の息と言える里の戦士長に近づいていた。

「やめろォ!!隊長に手をだすなァ!!」

まだ若き少女が男の前に立ち塞がるが、男は邪魔と言わんばかりに殴り飛ばした。

「ぐあっ!?」

「おいおい俺は旦那と話してんだよ。ガキは引っ込んでなぁ。」

そして荒くれの男が少女の首を掴むと、みるみるうちに老化しミイラのように干からびていった。

「……あなたの、とても役に立ちましたよ。」

「グヘヘッ!ありがとよ旦那!!じゃあ次は誰を殺せばいいんだ?」

「長老と呼ばれる者達を殺してきなさい。」

「了解だぜぇ……グヘへッ!」

そう言ってその男は山奥へと消えていった。残されたローブの男は炎包まれた里を見渡す。

「……愚かな者達よ。7億8438万年前、お前達の祖先は我等が神に歯向かったのだ。その時の借りは返さねばならぬ。」

ローブの男の言葉と共にゲカルドゲが雄叫びをあげる。それは世界が震える程に。

「我等が神…………」


――――――――――――――――――――――――――

現在のステータス

生命力:B

魔 力:C

体 力:C


攻撃力:B

防御力:C

魔力攻:D

魔力防:D

走 力:B


現在使用可能なスキル

●身体、精神、霊魂に影響するスキル

『旋律』音や歌声を響かせ、自分や他者に影響を与えるスキル。

『鑑定』情報を調べ、表示するスキル。※現在表示できる情報は全情報の10分の1である。

『簡易演算(レベル1)』簡単な計算を解きやすくし、記憶力や思考力を高める。

『仮説組立(レベル2)』考察によって生まれた仮説を組み合わせて信憑性がある考えを導き出す、また記憶力や思考力を高める。

『解読』文や言語を理解するスキル。

『敵意感知』近くにいる人族や魔物の敵意を感知するスキル。

『熱感知』目視可能な範囲の温度変化を感知するスキル。

『多重加速(レベル2)』加速を重ねることにより、更に速度を上昇させるスキル。

『大蛇の育成者』タイタンの幼体を育てる者、レベルアップ時にタイタンのスキルを獲得することがある


●技術

『解体技術』解体の技術を高めるスキル。対象はモノだけではない。

『加工技術』加工の技術を高めるスキル。

『貫槍技術』貫通に特化した槍の技術を高める。

『斬槍技術』斬撃に特化した槍の技術を高める。


●耐性

『寒冷耐性(レベル4)』寒さを和らげて、活動しやすくする。

『苦痛耐性(レベル4)』痛みを和らげて、活動しやすくする。

『毒耐性(レベル1)』毒を弱体化させて、活動しやすくする。

『爆音耐性(レベル2)』爆音を和らげて、活動しやすくする。

『風圧耐性(レベル1)』風や衝撃に対するダメージを和らげて、活動しやすくする。


●魔法

『火魔法(レベル3)』火を操る魔法。

『水魔法(レベル1)』水を操る魔法。

『風魔法(レベル1)』風を操る魔法。

『時魔法(レベル1)』時を操る魔法。

『生活魔法』モノを綺麗にしたり、簡易的な回復を行う。


●加護

『死者の加護』死した者から生きる者に与えられる加護。

『象兵の加護』ヤコバクから異種族に与えられる加護。

『大蛇の加護』タイタンから異種族に与えられる加護。


現在の持ち物

銀の槍(緑王):ヴィクター・アガレスの槍。オークロードの額にあった宝石の欠片で強化し緑王という名前が刻まれた。

冒険者カード:名前、性別、年齢が書かれたカード。特殊な魔法道具が使われているため個人を特定できる。

毛布:ハウンドの皮をつなぎ合わせた物。粗末だが、トモヤがこの世界で初めて作ったもの。

黄色の水晶:エレノアからのプレゼント。微かにオーラを感じる。

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