第36話 恐怖! 石と化したマンティコアとキマイラ

 芭尻ばじり先生が羽の生えた蛇になって変なビームを出せば、背骨が砕ける痛みが和らいだ気がする。あぁ、何か体がヒンヤリする、心地よい感覚。



「うん? ああああ、石になってるぅ!」



 私とキマイラの体がくっついたまま、足元から石化していた。美術館の石像のように年季の入った見た目だ。このまま頭まで石と化したら意識はどうなるか、そもそも元に戻れるのか、物凄い不安が押し寄せてまずい。



「クソッ! こいつと一緒になりたくねぇ! は・な・せ!」


芭尻ばじり先生、これ元に戻りますよね?」



 バジリスクは首をかしげ、「ごめん。わかんないわ。てへっ」と二又の舌を出して可愛く言う。ヘビ特有の無表情だけに、余計に腹が立つ。



 私とキマイラの頭より下は完全に石と化している。キマイラの臭いが鼻について嫌んなる。



「クッソー! お前、どっか行けよ!」


「行けるワケないでしょーが! あっ」



 振り返った自分の鼻と彼女の鼻が触れ合った。ライオンとハイエナの鼻キス。実はこれがファーストキッスだとは夢にも思うまい。彼女は鼻をヒクヒク動かして笑う。



「フッフッフハハハハハ! 満地まんち先生とキス、キス、嫌だぁ」



 キマイラの声が野太いラスボスから、愛くるしい女子高生のものに変わった。黒目が大きくなり、敵意が消えていく。



紀米良きめらさん、元に戻ったようね。良かったわぁ」


芭尻ばじり先生、早く石化を解除して下さい!」



 体は自由を奪われたけど、戦いが終わって良かったよかった。



(続く)

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