第30話 ハイエナの噛む力がレベチ

 最強キマイラのパンチは物凄く速い。少しでも当たったら、私の顔はアンパンマンみたいに膨れるだろう。



 しかし、マンティコアの驚異きょうい的な動体視力によって、左右交互に来るパンチを瞬時にかわした。キマイラがパンチし疲れて汗を拭う頃には、私はほぼ無傷で立っていた。



「それで終わり? 次は私の番ね」



 一撃必殺のマンチパンチで決めてしまおう。大きく息を吸って、全神経を右拳に集中させて、喰らえっ!!



「マンパーン!!」


「ガブッ!」



 いいい、痛い! 一体何なの? 私の右の甲にキマイラのハイエナ牙が食い込んでいる。こいつ、私の右手を噛み砕こうとしてる? あらゆる痛みを超越ちょうえつした激痛が私の体を襲う。



「痛い痛い痛い! 放してー!」



 左手で最強キマイラの頭を鷲掴わしづかみ、無理やり放そうとするが、ハイエナの噛む力が強くて全く力が入らないし、より牙が食い込んできた。血がとめどなく流れる。このままだと、私は死ぬ……。



「うううう。どうすれば……、あっ!」



 マンティコア特有のサソリ尻尾で最強キマイラの体を突き刺せば、噛む力が弱くなったり、気絶したりするんじゃないか。そうと決まれば、そろりそろりと尻尾を動かして、キマイラの尻にぶっ刺してやった。



(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る