第12話 悪魔のテディベアは怖くない

 里佐土りさど相須あいす先生の2人はカウンセラー室の前に立っていた。



里佐土りさど君! どうして君がここに?」


「それはこっちのセリフですよ、先生。まぁ、俺の場合は、変なモノ見たので、疲れてるのかどうか聞いてほしくて」


「変なモノ? もしかして、ライオンみたいなモンスターか」


「あっ、はい! それです! もしかして、先生も?」


「ああ、そうだ。うーむ、1人ならともかく、2人とも同じ物を見たということは、まぼろしじゃなかったのか、あれは」



 相須あいす先生は首をかしげながら、カウンセラー室の扉を開く。カウンセラー室はパイプ椅子と折り畳みテーブルの他、何もないシンプルな部屋だ。机の真ん中にテディベアがあった。



「おや? 芭尻ばじり先生は休みか」


「えー。せっかく、話聞いてもらいたかったのにー」


「オレデヨケレバキクゾ」



 突然、テディベアが喋った。



「うわー! ぬいぐるみがしゃべったああああああ!?」


「なっ、何だ、これはドッキリか!?」



 テディベアは宙に浮いて2人の頭を小突く。



「シツレイナ! オレ、アクマノクマダ!」



 テディベアは再びテーブル上に降りて、腕組みをする。



「ライオンのモンスターと言い、悪魔のクマと言い、最近、ここらはどうなってるんだ」



 相須あいす先生は頬をつねりながら、悪魔のクマを凝視ぎょうしする。クマは少し笑いながらしゃべる。



「アレ、マンティコアトイウモンスターダ。キミタチニアイツヲタオシテモライタイ、モンスターニナッテナ」


「モンスターにぃ?」



 里佐土りさどは坊主頭をポリポリかきながら、怪訝けげんそうな顔を浮かべる。



(続く)

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