うつりかわり

kaito

あっつ

  毎年、毎年夏は暑い。どうしてこう、暑さを忘れるのか不思議でたまらない。

「まだ体が暑さに慣れていないので、体調管理にはじゅうぶんお気をつけください」

少し前のニュースで言っていた。それを聞いて、慣れってどのくらいで慣れて、忘れるんだ・・・?なんて思ったのが懐かしい。

もしかしたら、去年も一昨年もそんなことを考えていたのかもしれない。


高校生の頃は暑い夏を満喫・・・と言っても、通学で自転車にいやでもまたがっていたので、暑さは、暑い夏は満喫していた。

がしかし、車の免許を取得した今、移動はエアコンの効いた車だ。強い日差しは車に乗っていても受け取ってしまうのだが。


そんな時期も毎年やってきては、過ぎていく、当たり前で、当たり前よりも大きく感じる大前提。


その大前提が、少しばかり寂しい気持ちになるのは何故だろうか。

寝るときは必ずつけていたエアコンも、つけずに寝れる日が増えた。

外に停めておいた車に乗るとき、ムワッとした車内の熱気も大人しくなった。

べとつく汗がすこしマシになった。


そんなとき毎年、毎年私は思う。

あぁ、夏満喫してないな、と


過ごしにくい季節は皆同じだけ、過ごしたはずだが私だけ取り残されてる気がするんだ。毎年、毎年。

もう少しだけ暑くいて欲しい気持ちとは裏腹に、一雨一雨ごとに空気の湿度や温度、匂いが変わる。


当たり前を超えた大前提なはずなのに、理解してるはずなのに。

もう何度も経験してるはずなのに。


それでも明日には、1週間後には、1ヶ月後にはもっと過ごしやすくなっているかもしれない。


といっても、また1年しない間には「まだ体が暑さに慣れていないので、体調管理にはじゅうぶんお気をつけください~」とかニュースでやって、慣れるのはどのくらいで、去年の暑さ忘れんなよ、とか思ってるんだろうと思うと、少しばかり明るい気になれるんだ。

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うつりかわり kaito @belltree722

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