第10話 救済の悲劇

闇夜に燃える無数の松明、そこに轟くは数多の悲鳴、敵を裁つは1本の斬劇、支援にまわる雷炎の標


――――――――――――――――――――




馬車を飛び出してスレイン達が敵と応戦しているところに向かった。無数の松明によって照され、目視するだけでざっと百以上の敵がいる。


「スレイン!今の状況は!?」


「盗賊が村を襲っている!村に滞在してた冒険者も戦ってはいるけど数の差でかなり厳しい!…リンタロウは村人の避難を優先して!魔法はもしもの時までとっておいてね。盗賊共は生け捕りがいいけど無茶はしないように!」


「わ、わかった」


けど村人を避難させるっていってもどこに避難させるんだよ…村人なら避難する場所もわかるか…とりあえずめちゃくちゃいる盗賊の間をはいって中心までいくか…出発する前に習ったあので…


『神聖なる精霊に問う 理を築き上げ雷の脚となれ アクセル・ライトニング』


そして、


『神聖なる精霊に問う 理を築き上げ炎の脚となれ ファイア・アクセル 』


もしもの時っていってたけど…身体強化魔法は…いいよね?


名前の通り足が速くなる魔法、もしもの時にってことでネロが教えてくれた魔法だ。これで村の中心部まで…



――――――――――――――――――――



村の中心は想像してたことよりも悲惨で荒れ果てていた。家屋は燃え村人の悲鳴が鳴り響き冒険者らしき人達が1人、また1人と倒れていった。

「ふひひひっw俺の裂剣には勝ち目などないっ、お前ら1人ずつじわじわと殺してやるよ、フヒッ…」

盗賊の頭みたいなやつが冒険者を1人、また1人と刻んでいく。

幸いこの村は山に隣接して作られた村だ。洞窟の1つや2つはあるはずだから時間を稼げば逃がすことはできるはずだ。ならやることは1つ、少しの間盗賊共の気を引くこと…もう1つの魔法をつかって、


『神聖なる精霊に願う 心身に流るる雷炎を糧に爆炎を作り上げよ [閃光爆]  』


この魔法は自分自身が補助している魔法を集め解き放つ魔法だ。そして気を引くために…



「我が名はリン!力なき者を襲い悦ぶ愚弄者よ、!我が前では無力同然、腕に自信のあるものだけかかってこい。1人残らず消し炭にしてやんよ!」


…と、言ったものの魔法職に近接戦は厳しい、ネロ達がくるまでもちこたえれるだろつか。


「な、なんだ、まだ冒険者が残っていたか、お前も、あ、あいつらと同じように苦しみながら殺してやる、フヒッ…」


攻撃の決め手になるのは『ファイアボール』と『閃光爆』の2つだけ。戦いに勝つよりもネロやスレインがくるまでの時間稼ぎ、裂剣ってスキルは剣が裂けて2つになるみたいだ。ならば先手必勝!


『神聖なる精霊に問う 理を築き上げ炎の脚となれ ファイア・アクセル 』


移動速度を上げ攻撃を躱せば負けはしない。さて、持久戦の始まりだ。





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人魔救済~堕天使と共に異世界に下り立った俺は救済の力で世界を救う~ アウル @muyua

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