第四十話「東巡見」

「やあやあ。一ノ瀬未来君。こんにちは」


「「――――?!」」


 瞬間、振り向いたのは俺だけでは無かった。その場に居た、石墨も四葉も一緒に居る深界、琴吹も全員が振り返った。そこに居たのは、転校してきてあの日、俺を夜の部に入部させた教師。あずまだった。



「そうか。あなたがここへ関わっていたんですね」

「どうゆうことじゃ?」


 まただ。琴吹の力で、契約とやらが切れたためなのか、ドラゴンの少女の言葉が聞こえる。


「あの人の本名はあずま巡見めぐみ。この国の魔法統括機関の代表だよ。つまり、国の魔法病を監視している軍人のまとめ役、そして……現在、高校生同士の戦いを見世物にして魔法病を研究し始めた張本人さ」


「どうゆうことですか先生!」

 石墨が鋭い眼光で、東を睨みつける。


「まあまあ、そんなカッカしないの。君たちには監視対象としてのグレードを上げさせてもらったから、今日はその報告と転校を言い渡しに来たんだ」


「ふざけないで下さい、そんなこと軽々とさせるなんて横暴です」

 みどりも、いつになく怒りの表情を浮かべている。


「四葉くん。大丈夫、家族には今まで以上の支援金を送ろう。それに、君が居ると家族まで監視されることになるんだよ?」 


 その言葉に四葉が押し黙る。



「石墨くん。君には沢山働いてもらったね。今日も、ここで一ノ瀬に刺されて、皆を集めてくれた。ありがとう」

「隼人、嘘だよね」

 

 深界がそんな事実信じたくないと言わんばかりに聞く。


「………………」

「なんで嘘って言ってくれないの」


 隼人は深界の言葉が聞こえなかったような素振りで、東に質問を投げかける。



「俺の魔法病を消すために今まで協力してきた。だから、命を代償にして魔法を使っ

てきた。それは達せられるのか?」


 クスクスと笑う東。


「ふ、ふふ。いや、全くの逆だよ。最後まで実験に付き合ってくれなきゃ困る。人間の行き着く先、不老不死を叶えるための実験にね。あー、それとこんな戦ってくれて悪いんだけど、未来くんはそもそも君達を殺すつもりなんて無いんだよ?」


「チッ、お見通しか」

「だから主は芝居が下手だと申したのだ。石墨とやらの心臓をいっそのこと貫いて我が復元すれば良かったものを。一ノ瀬未来を捨てるならもっと徹底せんかい」


 どうゆうことだ?石墨は何を言っているんだ。

 俺たちを最初から集めるため?

 一ノ瀬未来が俺たちを殺すつもりがない?

 東が魔法病を監視している実験を行っている?


「まずいなリベラ、あれを使え」

「承知した」


 瞬間、俺は激しい眠気に襲われた。





























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