第三十七話「つながるもの」

「リベラ、ちょっとこっちへ来てくれないか?」


 ドラゴンへと手をのばす。

 その呼びかけに応じてその巨躯がのっそりと近づく。


「……してどうしたのだ」


「俺は今


 そう問いかけてみる。


「一ノ瀬未来であろう? 」


「そうなのかな……」


「仮にそなたが人格に飲まれそうなら助言するが、どの人格も一ノ瀬未来なのだ。心配しなくても、我が主が死んだりするような事態にはさせぬよ」


「もし、万が一。俺が壊れたら、その時はリセットしてくれよ」


「気軽に返事できることではないな。それより壊れる前に我が身を呈して止めよう」


 かつての僕の先祖は人工のドラゴンと契約し、六体のドラゴン契約者の力を自在に操った。その力を借りる力で世界を平和にした後、俺が生まれた。そう曽祖父が作った人工の島で。でも、俺は島を出るなとの掟を破った。


――――僕から溢れ出た魂が人間に影響が及ぼしたのだ。

 僕も詳しいことは分からない。しかし、僕が島からさえ出なければ、こんなことにはならなかった。


 

「俺は罪を償えるかな。世界の魔法使いを消して、戦争を止められるかな」


「いつになく弱気じゃの」


「………………」


「お主は背負い過ぎじゃ。お主の妹を守るため、そういう風に自分を追い込まなくていいんじゃぞ。普通の生活を望めば、島の者も許してくれるじゃろうて」


「ありがとうリベラ」




















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