第三十話「本心」

 少年が小さくなっていきやがて見えなくなったところで人間を背に乗せたドラゴンが話し始める。


「よいのか仮の主よ、あれでは暴君にしか見えないであろう」


 もちろんこの声も聞こえないし、僕とドラゴンの姿も誰にも見えない。


「リベラ、これは僕の落とし前なんだ。魔法はいずれ世界を覆す。それはわかっていたけど、こんな形では危険すぎる。それに、これでは今までの戦いの意味がまるで無いみたいじゃないか」


「そうか、まあよい。それよりも、付け足すようで悪いが少しぎこちなかったぞ」


「余計なお世話だっ!……………でも、悪いな付き合わせて」


 そう、俺の契約龍はこのドラゴンとは別だ。このドラゴンは…………大切なひとの契約龍だった。


「私のかわいい娘を守るためとあらばこれぐらい安いものよ」


「行こう、まだ魔法に関連するものが残っている」


 これ以上は何もさせない。大切なものを奪われるのも、誰かが傷つくのを見るのももう沢山だ。


「無理はするでないぞ。あくまでも不当な扱いを受けるものを開放するのが目的なのだからな」


「――ッ誰だ!」


気のせいか。誰かに見られているような感覚があったのだが。

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