第二十八話「未来」
「自己紹介がまだだったね。僕の名前は一ノ瀬未来、魔法使いだよ。このドラゴンはリベラという名前で、会話できるのは僕だけなんだ」
すると後ろのドラゴンが淡い光に包まれ、残ったのは少女だった。
「……………………」
ただ、少女はまったく喋らない。ドラゴンが変身できるところまでは異常なまでに高位の技術なのに、話すことができないとはどういうことなのだろうか。
「リベラとは契約で繋がっているんだ」
「契約…………?何かの冗談か」
「ふざけてるわけじゃないんだよ?僕だってこんな状況になったのは不本意だし。それよりも、今日は相談があって来たんだ。単刀直入に言おう。あの学校を潰すために力を貸してくれないか」
「――――――っ、学校を潰すだって」
意味が分からない。こんなところで一体何を言っているのだこの男は。
「説明をしようか。国は魔法の力を利用することにやけに熱心でね。こうやって学校に集めて観察しているんだよ。君たちの力が制御できるか否か。そして、その学校の
魔法使いの戦いを見世物にして稼いでるんだ。そう、賭博でね。でも、君も知ってるだろ。魔法を使えるのは子供だけ」
「じゃあ、なんでお前は使えるんだ。おかしいだろ、その説明でいくなら魔法を使えるわけがない」
「それは、僕が契約で魔法を使っているからだよ」
契約なんて子供だましみたいな言葉がまさかこの男の口から出るとは思っていなかった。こんな明らかに怪しい男を信用できるものか。
「君には魔法が何か理解できているのかな」
「……………………」
確かに、僕には何一つとして魔法に関係する知識がない。それに、記憶を失うリスクがあるのだ。そういえば、この男も何かしらのリスクを抱えているのではないか。
「僕の弱点か…………」
というかこの男、さっきから心を読んでくる。
「そうだな。強いて言うなら法律かな」
「お前に魔法の副作用はないのか。そんなの…………」
「そう。だから、身の程を知りなよ? 」
ぞっと体が震える。この男が発する声のせいなのか、何かがおかしいような感じが体の中でもやもやしている。
「じゃあ、僕を手伝うかどうかは君の自由だけど僕は学校を潰すから。また会おう」
そう言うとドラゴンに乗って男はどこかへ飛び去っていった。
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