第七話「賞金」

「やっほー、しょうくん」


 後ろからみどりの声がしたが、誰を読んだのだろう。

 すると肩を叩かれる。何だろうと振り返ると


「もう、しょうくん。無視はいけないよー? 」


 章を「しょう」と文字って来たか。


「あの、さすがに章っていう名前で読んでもらわないと分かりませんよ」


 それに対してみどりは不満そうにこういってくる。前から気になってたんだけどその敬語は何なの?と。


「じゃあこうならいい? 」


「そうそう、敬語はなんか固っくるしいよ。それにもう友達になったんだから、遠慮無しで話そう? 」


 そうか、もう友達だったのか。僕はいつしか友達の定義もわからなくなっていたのだろうか。


「では、今日の試合をしようか。今日のルールは簡単だ。すき放題暴れていい、……ただし。戦闘不能状態の判定は、このペイントボールで判定する」


 ライトアップされたというよりも真昼の状態といった方が正しいだろう。校舎が明るく照らされている。


「魔法も勿論、使用可だ。今日が初めての生徒も居るそうだし、お手柔らかにな。そして今回の勝者に渡る金額だが、百万だそうだ」


 それを聞き場に集まった生徒はざわめく。普段よりも高いのだろうと勝手に解釈したが、その推理は合っていたようだ。


「やっべ、今日来て良かったわ、章も運がいいな」


その隣で、獲物をいざ、捕まえんといったみどりの眼光。こんな状況でお手柔らかにとはシャレが効いているものだ。まったく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る