第26話

俺はDACに着くとゆりの姿はなく、とりあえず適当に席についた。「あいつどこいるんだよ…」ボソっと呟くと隣のメガネをかけた美少女に「いやここにいんじゃん」と言われた。なに?この人、なんか良い匂いするんだけど。じゃなくて。「えっと、人違いしてませんか?」とニコニコと答える俺に美少女は「え、ほんとにわかんないのぉウケるんだけど」俺はこの返答で全てを悟った。こいつからビッチを取り上げたら誰が清楚系美少女になると思ったんだよ…神様不公平だよなぁ…「お前化粧薄い方が良いと思うぞ」と言うとゆりはらしくなく顔を背け、小声で「どーてーのくせに…」と顔を赤らめた。やめろよお前キャラブレブレ何だよ。だが騙されるな。こいつは女神、じゃなくて天使、でもなくて凛を苦しめている原因で間違いないんだから。「で」と無愛想に聞くとゆりは「えーつまんなぁーい」と言いつつも彼女は話し始めた。「あいつさぁ。中学の時に私の自慢の彼氏奪ったんだよねぇ。しかもさ、その後あいつに直接話をしに行ったのよぉ。そしたらその後あいつなんて言ったと思う?『釣り合わない』ってさ。それだけ言って帰ったのよ」「しかしこの時点ではまだ彼女は君の元彼氏に対して言ったと決めつけるには早すぎると思わないか」俺は彼女を信じてる。そして知ってる。彼女は不器用だけど優しい性格だということに。だからこそこれには誤解があると確信している。俺は考え込んでいると隣のゆりはため息をついてこう言った「わたしもそー思ったつの、だからあのビッチに頼んだの。あなたがその気じゃないんだったら彼に諦めるように伝えて〜ってね。そしたらさ、『関わらないで』って言われた〜。だから奪われたって思ったってわけねぇ」本当にそうならゆりが凛を嫌う理由もわからなくもない。おそらくそれ以降話す機会もあまりなかったのだろう。でも凛はどうして関わらないでなんて言ったのだろう。凛に関わるなという意味?いや、考えたくないが私たち二人に関わるなという意味?これは一人で考えても答えは出ないだろう。凛に聞くか。「話聞けてよかったよ。ありがとう。それとゆり、無理に気丈に振るう必要はないよ、少なくとも俺には」これは俺の勝手な憶測だが、ゆりがギャルになったのはこれが原因だろう。証拠は二つある。まず一つ目、休日など学校のない日はチャラい服装ではないこと。二つ目、中学の凛とのいざこざは元彼氏が原因でそれは今も糸を引いてる。それはそれほど重く考えたからだろう。そして、今のゆりを見る限り、彼氏との関係は軽い。それは何らかの大きな変化のおかげだろう。そう、自分自身を軽く偽ることだ。飽くまでこれは憶測だがそれはゆりの反応を見て確信へと変わった。

「あんたやっぱり私と付き合わない?」





「女神は一人で十分だよ」

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