&α 光と翳の間で輝く

「よし今だっ、やれっ舞台担当」


「はいっ」


 きらきらしたものが。


 宵闇に、振り撒かれる。ラメ。


「照らせっ」


 私と彼以外のみんなが。明かりを、照らす。懐中電灯。


 ラメが、光を反射して。


 夜に、輝く。


「きれい」


「劇団のカップル誕生を祝って。少し早めのラメシャワー」


「まあ、精一杯だな、これが」


 みんなが、私のために。


「綺麗でしょ。これを見てもまだ、しにたいですか?」


 彼。


 こちらに、手を、差し出す。


「戻りましょう。劇場に」


「はい」


 手を、繋いだ。


「なんだ。抱き合わねえのか。キスはどうしたキスは」


「まあ、いいじゃないすか。そこらへんは」


 失った記憶は戻らない。しにたい気分も、なくなることはない。


 それでも、せめて光と闇のあいだで、せいいっぱい輝こうと、思った。


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ライト & ダーク 春嵐 @aiot3110

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