第30話 第二次調査隊、奥へ

皆さんお久しぶりです。

セイマです。

現在、私は第二次調査隊の責任者として“あの”【ピンクギドラ】の巣穴の前にいます。



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【第一次ユイナーダ王国冒険者ギルド本部・ピンクギドラの巣穴についての報告書】




巨大ドラゴン【ピンクギドラ】戦の後片付けの途中、冒険者ギルドの職員が巨大な洞窟を発見した。



探索の結果、《洞窟の大きさや残されていた痕跡から【ピンクギドラ】の巣穴の可能性が高い。》という事になりました。



最初はA級冒険者に依頼を出して調査を行っていたのですが、どうも様子がおかしいんですよね。



けっこう深い洞窟の様で時間がかかるのはわかるのですが、『調査が足りない。』と言いながら頻繁にその洞窟に出入りし、その割にギルドへの報告は《深い洞窟が続いている。》という報告のみ。



その内、『彼らの金回りが急に良くなった。』という情報が出て来たのです。

そこで冒険者ギルドは、信頼できるS級冒険者に彼らを見張り尾行する様依頼したところ……



『洞窟内から【ピンクギドラ】が溜め込んでいたと思われる財宝をマジックバッグに入れ、無断で持ち出している。』



という報告がありました。



本来なら《見つけた財宝は、見つけた者に権利がある。》のですが、この依頼は“王家からの依頼で彼らには#報告義務”があります。



それを無視して報告義務を怠り、“虚偽報告”をしていたのです。

彼らとの契約では『もし財宝が見つかった場合、その数%を依頼料とは別に冒険者の取り分とする。』となっていました。



結果、彼らは『報告義務を怠った』為、規約違反となり予定より少ない財宝しか手に入れる事が出来なかったのです。

マジックバッグって、それ程容量が無いんですよ。



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と…この様な理由で第二次調査隊が派遣される事になりました。



第二次調査隊のメンバーですが、何故かボルネオール姉妹(※1)と勇者シルバー(猫)も参加しています。



巣穴を進むうちに気が付いたのですが、此処ってもしかして本当は出入り口じゃなくて、むしろ巣穴の最奥だったのではないでしょうか?



奥に行くに連れて狭くなってますし。

財宝があったの出入り口?からの方が近かったですし……



もしかしたら、身体が大きくなり過ぎて元々の出入り口から出れなくなり、此方側を崩して外に出て来た可能性がありますね。



反対側が何処に繋がっているかにもよりますが、補強してトンネルとして使えるかもしれません。



運の良い事に、冒険者達が発見した財宝部屋とは別に勇者シルバーとラック(大型犬)が先に発見された物より中身は少ないですが財宝部屋を二つ発見してくれました。



「凄いですね。三つも財宝部屋を持つドラゴンは聞いた事がありません。」



と第三騎士団から派遣された学者が言う。



「う~ん…たぶん首の分だけ財宝部屋があるんじゃないかな?」



とターク嬢が意見を述べる。流石は【名探偵ターク】と言われるだけはありますね。



「この様子だと首が三つになったのは、割と最近なのかもしれない。」



「首が三つねー?

なんか前に、見た事あるような…… 」



おや?エリー嬢は何か心当たりがあるようですね?



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※1


【ボルネオール姉妹】


代々優秀な魔術師を輩出する侯爵家の姉妹。

父親は国家魔術師団団長。


姉:エリー・F・ボルネオール。

ロピアー公爵家の嫡男と婚約中。

19歳。

火魔法が得意なトラブルメーカー。

作家としても有名。


妹:ケイト・F・ボルネオール。

ボルネオール家の総領娘。

勇者シルバーの飼い主。

17歳。

水魔法が得意。

姉の起こす騒動に、よく巻き込まれる。



☆詳しくは、国立ユイナーダ学園高等部シリーズ①③⑥⑦⑨⑩参照。

(カクヨムではまだ未投稿の作品もあります。)

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