第8話 サイド領にて ②

(セイマside)


流石に3時間も馬車に乗っていたら、腰にきますね。



【適度に体を動かさないと、《エコノミー症候群》と言う病気になる。】



と以前、神殿に講師として来ていた、稀人の元看護師に教えてもらいました。

彼女は他の稀人より小柄な方で、『他の人達とは違う異世界から来たんだと思うわ。』とおっしゃっていましたね。



確かに此方に来る稀人の中には小柄な人達と私達より少し低い人達の2タイプある様です。

因みに講師をしていた彼女は暫くして、何処かの町へ【治療師】として赴任されて行きました。



彼女の言っていた通り《エコノミー症候群》予防の為に、多少足を動かしたりした方が良いのですが私は人より少し大きい為、馬車の中でやると迷惑をかけるので、回復魔法を使います。



馬車から降りるとサイド伯爵がおっしゃっていたとおり近隣の者も来ているのでしょう治療会の会場には既に、長い列が出来ていました。

毎年の事なので皆さん慣れているのでしょうね。



【#神降ろし__猫神憑き__#】を使えば、一度に癒す事が出来るのですが、まだ数ヶ所廻らなければならないし、此処の村はまだ緊急事ではありませんから、通常の治療で良いでしょう。



村で用意してくれた昼食を済ませた後、外が少し暗くなるまで治療を続けました。



ハーシーとサイド伯爵が付けてくれた護衛騎士はその間、ずっと警護をしていてくれたので、たいへんです。

後で回復魔法をかけてあげましょう。



その日の夜は村長宅に泊まらせてもらい、癒しの神であるナツキ様に夜の祈りを捧げてから就寝。



もちろんハーシーと同じ部屋…で寝たかったのですが残念ながら一人部屋でした。



仕方ないので、一昨日の#枕カバー__獲物__#を抱きしめて寝る事にしました。

夜中、私の部屋に誰か入り込もうとした様ですが、前パーティーメンバーの魔法使い、ミーナから聞いた《#アンロック__おまじない__#》をしてから寝たので問題ありませんでした。



朝食の席で村長の娘さんが、凄く悔しそうな顔をしていたのですが、どうしたのでしょう?



その後、私達は次の目的地に向けてリバーサイド村を旅立ちました。

村の皆さんからたくさんのお土産を頂きました。



川の側にある村なので、川魚の干物や私が大好きな、シジミ汁も鍋ごと頂きましたよ。

マジックポーチに生きている物は入れられませんからね。



申し訳ないので、以前別の場所で貰った鍋を置いて行く事にしました。

すると村長は凄くありがたがって……



「王家からの下賜品を頂けるなんて、ありがたや、ありがたや~!

家宝にさせていただきます!!

是非、是非お礼に娘をお受け取りください!!」



えっ?要らない……

昨日ハーシーが使った布団とか枕カバーなら欲しいけど、娘さんは要らないかなぁ。



なんて事は口が裂けても言いませんけど、丁重にお断りして次の場所に移動します。



ミーナにおまじない(アンロック)を教えてもらっておいて良かったです。

以前はマジックポーチからいろんな物を出して、バリケードを作って寝ていたんですよ。



侵入(夜這い)をかけられないのは良いけど部屋が狭くなるので、嫌だったんですよね。

特に旅先の宿の部屋は狭い。



狭い所は大好きですが以前、無理矢理侵入をしようとした方の所為で、バリケードが雪崩れを起こして、危うく生き埋めになるところでした。



騒ぎに気づいたパーティーメンバーに、直ぐ救助されましたけど。

それからはなるべく、男性のパーティーメンバーと同室で寝る様にしています。



まぁともかく次の場所に向けて出発です。

















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