第2話

「、、、っ!?喋った!?猫が喋った!?」

「うるさいぞ少年。なーに、僕は猫でも偉大なる魔法使いの猫だから、喋っても不思議じゃないだろう?いや、今は魔法使いの猫だったのほうが正しいな。」

「魔法、使い?魔法使いなの?魔法が使えるの?君は一体どこから来たの?」

「ええい、一度にたくさん聞くな。僕は魔法使いに仕えていた猫だから魔法使いではないし、魔法も使えないぞ。ただ、前のご主人は他界した。その時僕は捨てられた。」

「飼い主さん、死んじゃったの?」

「死んだよ。我々猫は、あらゆる動物の死期を見ることができる。その為古くから猫は死神の使い、悪魔の使いなどと呼ばれていたものだ。響きの良いものではないが、そう言われても仕方がない。最後に見たご主人はもう余命が後一日だった。死ぬ一日前に僕が拾われるかもわからない賭けで、ご主人がここに僕を捨てたんだ。ご主人の最後の優しさだったよ。最後の最後まで、僕のことを考えてくれて、僕のことを愛してくれていた。」

「そうだったんだね。話してくれてありがとう。ささめはご主人様が大好きだったんだね。もしかしたら、僕はそのささめのご主人様を知っているかもしれない。」

ユートの口から驚くべき言葉が出てきた。僕のご主人を知っているだと?あの偉大なるご主人と、このとても過保護に育てられたような少年が知り合いだって?何を言っているんだ?

「どうゆうことだ少年、ご主人をなぜ知っている?どこでご主人を知った?」

「どこっていうか、一昨日の晩、寝ている時に夢の中で声がしたんだ。助けて、私とあの子を助けて、赤い月の十五夜に禁断の森にある、精霊の館へ行って頂戴。見えぬ鎖は精霊の言霊、紡げさすれば開かれん、本を貴方に預けましょう。って。その声の正体も、意味もわからなかったけど、目が覚めた時に枕元にこんな本があったんだ。その明くる日の晩にささめを見つけた。」

ユートはそう言いながら、僕の前に枕元にあったという本を出して僕は驚愕した。

おいおい、嘘だろ!?これ、ご主人が長年持っていた本じゃないか、それも古くからの魔法魔術が記された、貴重な本。なぜこんな大事な本をこの少年に、、、。

ますます自分のご主人が何を考えて、何を意味してこんなことをしたのかわからなくなった。目的は?何のために?赤い月の十五夜、禁断の森、精霊の館で何がある?

ご主人は何を伝えたかったのか僕はとても気になった、だから僕はユートにお願いをした。

「ユート。僕は最後にずっと仕えていたご主人が何を伝えたかったのか、何をしようとしていたのか、不死身である魔女になぜ死期が突然訪れたのか、ご主人の真相について僕は知りたい。僕と協力してくれないか?ご主人の謎が解けた後は、僕は最後までユートの友達でいるよ。」

いきなり夢で魔女と出会って、しゃべる猫とも出会って更にその魔女についての謎を一緒に解いてほしいなんて言われても、普通思考が追い付かないだろう。誰がこんなファンタジーを信じるだろうか。

ダメもとでもいい、何の力も持たない僕だけじゃ無力で何もできない、どうしてもユートの協力が必要だ。

「いいよ。ささめのお願い叶えるよ。僕の初めての友達のお願いだもん、叶えたいよ。一緒にささめのご主人様の真相を調べよう。」

「ありがとう。ユート。」

僕はまだこの時知らなかった、ご主人の本当の考えを、その怖さも。

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君といつまでも @yudoufu03

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