第6話 裏切り

 足跡から場所を引っ張り出して、見つけた鍵を炎上ddosさせて焼き切る。


 中に入った。


 ウイルスを飼っているくせに、バックドアで管理してるだけだった。パッチも与えていない。


 電話。かかってくる。検索にかけた。健康庁の、ホットライン。


 出た。


『入ったわね?』


「入った。ずぶずぶよ」


『私もいい?』


「ちょっと待って」


 織の中のウイルスを三つばかり、餌で従える。


「いいわよ。三匹ぐらい檻から出した。コードはお手、おすわり、ハウス」


『お手、おすわり、ハウスね』


 サーバの中に潜り込む。


 何も、たいしたものは見つけられない。


『あら。ウイルスの叩き売りじゃない。取り放題、詰め放題』


「おすきなだけどうぞ」


 ファイルを、探した。


 z2。あった。原本ではない。コピーされた何か。明らかな、罠。それも、巧妙に秘匿されている。


 ウイルスを檻に入れているだけの雑な企業の仕業とは、思えない。別な何か。


『うわあ。これならわたし、二階級特進かも』


 電話先。喜ぶ声。


 周りを、見渡した。


 依頼主の男。いた。こちらを見ている。手で、招いた。男が、ゆっくりこちらに近付いてくる。


 ラップトップの内容を、見せる。


 男が、首を横に振った。


『ねえ。あなたの欲しいものは、見つかった?』


「見つからないわ」


『あら。残念』


「あなたが隠してるんですもの」








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