サンタ

あん

サンタ

サンタってなんだっけ?祐太は授業中にふと思った。サンタって聖人か何かかな?ゴディバ夫人や聖バレンタインみたいなイメージだったが、

スマホで調べてみたらやはり聖人で、セントニコラウスという聖人が、貧しい家に窓からコインを投げたら暖炉に干していた靴下に入ったことが由来のようだ。しかしセントニコラウスの日は12月6日でクリスマスとは関係ない。


祐太はそもそもクリスマスってなんで25日なんだと考えた。クリスマスはキリストの誕生日だと聞いていたが、どうも違うらしい。誕生祭であって誕生日ではないとかよくわからないが、つまりはクリスマスとは日本でいうところの大晦日と正月みたいなものらしい。

「てことはクリスマスプレゼントはお年玉?」

祐太的にはなんとなく腑に落ちた気がする。


そこで気になったのはクリスマスツリーである。

クリスマスツリーはもみの木だが、イエスキリストが生まれたアラブ地方にはもみの木は生えない。


「いやその前にイエスってアラブ人だったの?」

イエスを白人と思っていた祐太は一瞬混乱したが、日本人は海外の事をふわっとしかしらないのだなと認識した。


ではクリスマスツリーとはなんだろう?もみの木は常葉樹であり、不老不死の象徴である。


「あ、これ門松なんじゃないか?」

門松は松竹梅を合わせているが、名前は「門松」でやはり常葉樹の松を使っている。


つまりクリスマスは冬至のお祭りであり、正月と同等と考えると、日本人は正月を二回やっている事になる。なんだか贅沢な話でお得な気分にはなれるけど、よくよく考えたら滑稽な話だ。


調べていくうちに、クリスマスを構成する要素のうち、キリスト教の要素だけが脈絡がないまま入り込んでいる。


「日本では神仏衆合が起きたが、つまりクリスマスとはキリスト教とヨーロッパ土着の信仰が結び付いて出来たイベントだったのか」


そう言えば日本でも荒神講(こうじんこう)と竈神講(こうしんこう)は別の神様のイベントだが、日にちが近いからと言って一緒にお祭りしているとか聞いている。


なんだかんだで世界中どこでも都合のよい設定変更がなされているのかもしれない。


祐太が家に帰ると母親がいう。

「あんた誕生日1月15日だから、クリスマスプレゼントと誕生日祝いとお年玉は今度もまとめて一回ね」


この神仏衆合ばかりは毎年泣きたくなる祐太であった。

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サンタ あん @josuian

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