第〇〇話・山のキャンプ場と海の家が崩壊⁉新たな仲間『古代のミイラと即身仏の姫』②

 ハロウィンとクリスマスとバレンタイン、盆と正月と七夕の邪魔々の幹部二人が海の家の物陰でゴチャゴチャ会話をしていると、

海の家で一人で接客をしている、やたらとイラつい表情の短大生バイトお姉さんがフライパンを持って出てきて。

 ボンショーとバレンタインを睨みながら、恫喝どうかつ口調で言った。


「さっきから、海の家の横でゴチャゴチャうるさい、客で無かったら営業妨害で警察に突き出すよ……なにあんたら? 変な格好して? あれ、そっちの男、足がない? なんかイラつく」

 お姉さんの体からドス黒い何かが湯気のように湧き上がる。

 それを見たバレンタインは、キャンプ場の方向に走りながらボンショーに言った。

「その、お姉さんはボンショーに任せた。あたしはバンガローの管理人室でイライラ気分の大学生を『ニュー邪魔スルナヤ』に変えるから」

 走り去っていくバレンタインに向かって、困り顔で呟くボンショー。

「はぁ、オレって不幸だ……しゃーない、面倒くさいけれど。ニュー邪魔スルナを、このお姉さんの体で作るか」


 ボンショーは、どこからか、赤い大福にカエルのような手足が生えていて。

 半月型の目をした目つきが悪い生き物の『ニュー邪魔々の子』に、サザエを溶け込ませるように混ぜ合わせたモノを持って言った。


「心の闇を解き放て、イライラ、ウツウツの世界に変えろ……人生お先まっ暗、いでよ闇落ち『ニュー邪魔スルナヤ』」

 無理矢理に、生きている、ニュー邪魔々の子とサザエを口に押し込まれる短大生。

「うぐッ、グググッ……ゴックン」

 お姉さんの体が黒い光りに包まれた。


 同時刻──キャンプ場では、不審者対応でバンガローの管理人室から。

 U字型の刺又を持って侵入者のバレンタインの前に、不機嫌顔の男子大学生が立ちはだかった。

「キャンプ場から出ていけ! 変態! こっちは、イライラしているんだよ!」


 バレンタインが、赤いニュー邪魔々の子に、ドングリを混ぜ合わせ言った。

「心の闇を解き放て……以下省略」

 ドングリが溶けたニュー邪魔々の子を口に押し込まれた大学生の喉が鳴って、赤いニュー邪魔々の子が呑み込まれる。

「ぅげぇ、グァァァ……ゴックン」

 イラついている大学生の体が、黒い光りにつつまれた。


  ◇◇◇◇◇◇


 ほぼ、同時刻──浜では山時間を告げるチャイムに、水着を引っ張られていく蛟姫が砂浜で激しく抵抗していた。

「いやだぁ、海がいい……山のキャンプは、虫に刺されるからイヤァァ!」

「えーい、往生際が悪い……海の時間は、花火やるまで禁止」

 砂浜をズルズルと、引っ張られていく蛟姫の目に、海の家で砂を巻き上げた爆発が起こり。

 サザエの被りモノをしてフライパンを持った、巨大短大生のお姉さんが現れた。

「ニュー邪魔スルナヤァ!」


 同時にキャンプ場の方でも爆発が起こり、ドングリの被り物をして刺又を持った大学生の巨大お兄さんが現れた。

「ニュー邪魔スルナヤァ!」


 ゆるりが、海と山の邪魔スルナヤを交互に見比べて言った。

「同時に、二体の邪魔スルナヤが⁉」

 火車姫が言った。

「二手に別れて戦うしかなさそうだな、あたしとゆるりは、山の邪魔スルナヤの相手をする」

 蛟姫が言った。

「じゃあ、あたしは海の邪魔スルナヤの相手を鳴神と姫変身よ、鳴神」

「がってん、承知」


 四人の閃光王女が、姫変身する。

「閃光登場コンコンコン! 閃光王女狐狸姫!」


「燃える炎は【地獄の単車】火焔王女・火車姫!」


「イヤなコトは水に流して麗しの……水竜王女・みずち姫」


「ビリビリ痺れる希望のロック! 雷獣王女・鳴神姫!」

 四人は山と海に別れ散った。

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