プラート・ダイブという女の子

俺はギルドの受付の娘の紹介で、タイミングよくギルドで出会った、前職に農業をしていたプラート・ダイブという日焼けした、健康的な美女とミスドの大衆食堂ワキナで農業について詳しい事をおしえて貰う事になった。


机を隔て向かい合って座りあう二人。

そしてダイブは並々とコップに注がれたビールを旨そうに飲み干した。


「あーっ、うめえやっぱり昼間に飲むビールは最高だな。」


それを見て、俺はすごい飲みっぷりだなあ。

と感心する。


「で畑を持って野菜を作って暮らしたいって話だけど、元々、農業をやってた身として言わしてもらうけど、今畑を持つことはまったくお勧めできねえな」


「えっ、それはなんでですか?」


「元々、野菜を作れる土地が限られてるし、

その土地も殆どが地方領主が保有してるからな、要するに畑を持ちたいなら、

地方領主に貸して貰うか、高い金をはたいて買わなければいけないわけだが

ただ、やはり買える程の大金なんてねえ。

じゃあ貸してもらうってのが一般的なんだけど、もちろんタダでは貸しちゃくれない。

収穫した野菜か収益の何割か上納しなければいけねえんだが、

ここ数年締め上げがキツくなあ。

正直あんま儲らねえんだよ。あと、もう一つ面倒な事があってな、、まっ、俺が辞めた理由はこっちなんだけど何かわかるか?」


俺は素直に「すみません分かりません」という。


「そりゃな、、人間関係だよ、、」


それを聞いて俺はビックリする。なぜなら俺は平和な異世界というイメージに野菜でも作りながら一人でのんびり暮らせると思っていたからだ。そう思ってた俺に

まさかこっちで農業を営んでた人がこんな事を言うなんてショックだった。


「正直、土地を借りてもだよ周りは畑だらけだ、つまりは俺がここにくる前から、その土地で野菜を作ってた先人たちに絡まれるわけだ。いっちゃ悪いが農家の中での年功序列みたいなのがあってな。

だから、いやがおうにもよそから入ってきた物には厳しいんだ。

だから、もちろん俺は新人だし、珍しい女だしって事で、いっちゃ悪いけど初めから、いろいろ陰口を叩かれてね、、

それだけなら、まだ我慢できたんだけど、

まあっ、その後に色いろあってなあ、

俺も嫌な思い出だし、今ここで言ったら思い出すからわざわざ言わないけど、、とにかくだよ!結果、昔から夢だった農家を辞めて、ここミスドで一人ハンターとして暮らしてるわけだ!という訳で悪いことはいわねえ。やめとけ」


ダイブはビールで赤らめた顔で睨んで、本当にマジなトーンで言った。


そして、その発言を受けて俺はと言うと完全に気持ちが落ち込んでいた。


続けて俺はクエリアが言ってた、ナルパスは50年平和で戦争のない国というセリフをおもいだしていた。


50年戦争がなく平和な星という事は、その間に文明は進化し、インフラも整備され、人がその土地を捨てる必要も無くなるという事だ。という事は土地も含めてこの世の物は誰かのものという事であり、

そして平和で人が動かないという事はもちろんいい事であるが、裏を返せば閉鎖的になり

やすく、よそ者に厳しくなる。という事ではないか、、


つまり何が言いたいかと言うと俺が夢見た平和な異世界わは、見た目は違えど中身は俺のもといた世界とあまり変わらないという事だった。


俺は今更ながら惑星ガルベスの方が良かったかなと思い初めていた。

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