第13話 とりまきとかー

 


 やべー。

 #異世界 めっちゃ急上昇ワードじゃね?

 絶対私からバズってるわー。



 そんな事を思いながら今日は良い感じの時間に登校。

 魔法が使えるようになってからは、朝飯前にまず魔法。

 朝飯食べてもまた魔法。それから準備して登校する前にまた魔法。

 それで登校するとすっごく丁度良い時間帯。

 朝のミカちゃんのウザイやり取りも慣れてきたし、なかなかメイクのバリエーションも増えてきたし!

 早くパレットケース欲しいな~。

 ペリドットのお店に行ってもう1週間が経った。平民棟の人、良い人だといーなぁ~。


 そう言えば、ミカちゃんの魔法って、どんなだろう…。


 そんな事を思ってしまった為か、噂をすれば…だ。



「どうしたんですかぁ?今日は何だか元気がないですね?」

「! いや、別に…。あんまりにも美香が可愛いから、どうやったら僕のものにできるか考えていたんですよ」

「やだぁ~!もうっ!冗談でも照れちゃいますよっ!」

「何ですか!後から来たクセにっ!」

「貴様こそ後輩のクセに生意気だ」

「もうー!止めてくださいってばぁ!すぐ喧嘩するのは良くないですよっ!」

「全く、美香が困っているだろう?」



 え?え?え?

 誰、誰、誰。

 こわこわこわ~。


 なんかまた男増えてるし…!



 クソ王子と、腹黒可愛い男子に、校舎が違うから副団長は居ない…、そしてお前は誰。

 眼鏡で長髪、これまたイケメンの(あたしはこれっぽっちも趣味じゃねーけど)インテリ系男子。

 切れ長の目はクールなグレーの瞳が印象的で、女子に負けず劣らずのキラキラさらさら銀髪。



 えー?

 逆に聞きたい。

 何でそんなあの女が良いワケ??

 言っとっけど!私も異世界からきましたよー!?

 まじでー。ここまであからさまだと笑うわー。



「あら?美優?お早う御座います」

「おー、マリン。おはよー」

「さっきから何を見ていらっしゃ・・・あぁ、アレ…」



 マリンは冷ややかな目で、頭お花畑集団を見つめている。



「あれだれ」

「あの方は…、クラウス・リー様ですわね。 あの方まであの女の手に落ちてしまったのですか」

「ははっ、言い方」

「あら、本当の事で御座いましょう?」

「ま、お兄様の方ではなくて安心しましたわ!」

「お兄さん居るんだ?」

「えぇ、」



 リー一家は魔法研究家としても有名で、国に多大なる貢献をしている超有名名門貴族らしい。(ルビーと同じく公爵家だって)

 ついでに顔立ちも端正だから女性からモテモテで、好きなものと言えば魔法と言うぐらいの研究熱心。


 マジで美の遺伝子多過ぎー。

 しかも、つまりヲタク?顔の良いヲタクでしょ??


 お父さんは国に使える魔法研究者、お母さんは子を生むまでは 魔法と剣の両立を得意とした優秀な騎士だったらしい。今は騎士団学校の教官をやっている。

 子供は3人いて、長女、長男、次男。

 長女は母と同じ道を進み、今は騎士団3番隊 隊長。この前会った騎士団 団長の部下となる人物。

 長男は私達の授業に臨時講師として来ることもある、国に使える魔法研究者としてはまだまだ若手の人物。

 次男、つまりクラウスは私達の1つ上の学年で先輩だ。女性には特に冷たい態度だったらしい。それが逆にモテてたらしいけど。



「クラヴィス先生…お兄様の方はとってもお優しくて、授業も分かりやすくて…それはもう憧れの的ですのよ? クラリス様、お姉さまの方も格好良くて美しくて…はぁ…」



 マリンがため息をつくほどカッコいい女性がいるのか…!

 それは是非お顔を拝見したいっ!

 そしてメイクを施して…!

 って、私、ちょっとルビーにメイクしたので癖になってるかもしれない…。

 だって、素材が良すぎんだもんねー。そりゃ腕も鳴るしー、メイクそんなしたこと無いってんだったら余計変身させたくなっちゃうよねー。

 喜ぶ顔がねー、もうなんか癖だよねー。



「リー家の方々は氷魔法が得意なので、氷の女王・氷の王子など様々なアダ名が付いていまして、」



 氷の女王!

 うーん、アイスブルーも良いし、細かいラメだけでクリアで艶っぽくしても良いし、逆にロイヤルブルーなんかでも…

 って、やべーやべー、なに考えてんだ私。これじゃ趣味とヲタクが紙一重だ。



「特にクラウス様は態度も氷のようでしたから氷の魔王様と呼ばれているぐらいでした。しかしまぁ…そんな魔王様が、あんな女に氷を溶かされてしまって・・・」

「言い方っ!」

「まぁ、これも本当の事で御座いましょう? だってあの美香様と言う人物…もう社交界で女性の噂の的ですもの」

「そうなの…!?知らなかった…!」

「美優は社交界にはあまり出ない…というか来たこと御座いませんものね。それはもう…女性は噂話が好きですから」

「へぇ・・・」

「毒魔法を使ってるだの、幻惑の魔法を使ってるだの、まぁ実際私が見たわけでは御座いませんから?唯の噂ですけれど…」

「魔法かぁ…」



 確かに惑わされてると見えてもおかしくない。と言うかそうじゃないと女のプライドが許さねーっつーか?

 ルビーだって婚約者のクソ王子があっちにベッタリだし?

 きゃーきゃー言ってたイケメン男子達がミカちゃんの周りにばっか寄ってくし?

 どーみても女が嫌いな女だし!

 魔法のせいにでもしたいのは当たり前っつーか…!!



「はぁ、この間なんて…ジェード様…夜会に美香様を連れてこられたのよ?」

「えっ…!?ルビーは…?」

「ルビー様は夜会には来られませんでした。 まぁ、正式な社交の場ではなく、少し砕けた感じの夜会でしたから…連れてくる人物は特に決まりは御座いませんけど・・・ねぇ…それはもう、ザワつきましたわよ。」

「うわー」

「しかもしかもっ!美香様の着てらしたドレスっ!何ですのあれっ!超有名店メゾン・ド・パリシアのドレスじゃないですかッ!淡いピンク色で新作のドレスッ!何故あの女が着ているんですかッ!」



 両手の拳をぐーにしてブンブンと振るマリンはどこぞの令嬢には見えないフツーの女子だ。

 でもそのドレスには見覚えがある…



「たぶんそれアレだわ。コスプレジジー達が貢いでたドレスだわ」

「こすぷれ、じじー?」

「あえーっと…あれ、神官のおじさん達!」

「え…?神官様方が…?その様なことを・・・?」

「え?うん、毎日何かしら貢いでるけど…」

「美優も頂いているのですか…?」

「まさか!ミカちゃんだけだし!格差格差!」



 わははー。と笑う私とは反対に「そう、ですの」と重い反応。

 何かヤバい事情でもあるのだろうか?

 でも事実は事実だし?私には関係ないしっ!



「まぁ、まぁ、それは置いといてですわ…! せっかくですから美優も今度 夜会に一緒に行きません?」

「えー!いきたーい! けど!?あたしドレスとか持ってないケド…!?」

「まぁ、それなら、」


「あら、お二人共、お早う御座います」

「お早う御座います!」


「まぁ、ルビー様、ペリドット、お早う御座います」

「はよー!」



 学園の第2の門を入って暫く歩いたところで、麗しい宝石の3人組が揃った。

 毎日のように見てるけどやっぱりオーラがすんごい。



「何の話をされてましたの?」

「今度、美優も夜会に一緒に行きましょうとお誘いしたんですの!」

「まぁ!それは名案ね!」

「美優が居ればきっと楽しいわ!」

「なにー、嬉しいこと言ってくれんじゃーん!」

「美優って、裏表がないんですもの。」

「ね、一緒に居て心地いですものね!」

「貴族って、表面ばかり気にしますから…ねぇ。」


「美優が居れば前向きになれますし! ですがドレスを持っていないらしくて、美優が良ければドレスをお貸し致しますが…」

「えっ!貸してくれんの!?ありがとう!」

「じゃあ、決定ですわね!」

「えぇ!良さそうな夜会があればお知らせ致しますわ!」



 きゃっきゃ、はしゃいじゃってこんなJKが夜会だなんて行って宜しいんですかー!?

 日本だったら夜遊びなんて捕まってんよ!

 でもこの世界では14から大人らしいから合法!

 何だか悪いことしてるキっブンーっ!



「はいっ!皆さんが揃うまで、もう私待ちきれませんでした!」



 ペリドットが一歩前に出て可愛らしく手を上げる。



「どうしたんですの?」

「んふふー!」



 くるくると鞄を軸にして華麗なステップを踏むペリドット。



「もうっ!勿体振ってないで教えて下さいな!」

「じ・つ・は~、美優のケースの件で平民棟の方と無事お話が成立いたしましたのっ!」

「マジでっ!」

「まぁ!」

「良かったですわぁ…!」


「ですから、早速明日にでもという事ですわ!」

「わぁ~!ありがとう!」

「皆さんも一緒に行かれますか?」


「えぇ!勿論よ!行かせていただくわ!」

「楽しそうですもの!」

「では、明日は午前までですからそれが終わり次第向かいましょう?勿論ランチは頂いてですけど!」


「はい!」

「えぇ!」

「いえーい!」



 私が一番ホッとしたのはずっと黙って借り続けたガラス玉がやっと返せるー!って思ったのは内緒の話。

 ま、明日3人にはバレるんだけどー!


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