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連れてこられたその場所は薔宿の表通りに並ぶお店のようにキラキラしていて目が疲れてしまいそうだ



「そこの椅子に座って頂戴」



言われるがまま指定された椅子に座ってぼーっとしていると目の前にお菓子の盛り合わせのようなものが置かれた


チョコレートにキャンディーにマシュマロ


昔、施設で食べた1口サイズのチョコレートなんかよりも大きいそれは私の心を鷲掴みするには十分過ぎるものだった。



「好きなだけ食べていいよ


今お茶を入れるからね~!」



ガチャガチャとカップを用意してお茶の用意をする彼女の方には目もくれずにじっとお菓子を目で楽しみながら恐る恐るそれに触れる。


チョコレートを1口食べれば甘い味が口いっぱいに広がって幸せな気分にさせる


こんなに美味しいお菓子は生まれて初めてだった。



「美味しい…こんなの初めて」


「あら、そんなに美味しいの?


だったら嬉しいわぁ~!」



それ私が作ったのよと自信満々に言う彼女はすごいなと純粋に思った。


こんな綺麗なものを作れるのだと知ってしまうと私もいつかこんな素敵なお菓子を作ってみたい


そう考えながらまたお菓子を食べているとお茶が来た


とても香りのいいお茶で心が落ち着くようで、1口飲めば更に心が落ち着く


頭の中がふわふわしてきてなんだか眠くなってきそうな程にリラックスできそうだ。



「美味しい…こんなに素敵なお茶があるんだ…。」


「そう言って貰えると嬉しいわぁ~


昔からずっと思っていたのよ


こうやって誰かにお茶を飲んでもらいたいな……って」



寂しそうに言う彼女は自分のお茶を1口飲んでにっこり笑ってた。


彼女は…ずっと1人だったのだろうか?



身体は男だけど心は女


そういう人間はよくいると研究所で習ったことはあるけど実際に見るのは初めてだ


そうか…こういう人は孤独になりやすいのか



「あの…私はあなたの事が好きですよ


なんというか…すごく優しいですし、お姉ちゃんってこんな感じなんだなって思えてきて」



すると彼女は嬉しそうに笑ってた



「本当!?


私ね、あなたに使ってもらいたい部屋があるの!


見てくれない?」



そう言って椅子から立ち上がると私の手を取って彼女の言う見てもらいたい部屋の前に連れて行かれた。


見た感じシンプルなドアでもしかして彼女の趣味とかのものを詰め込んだ物だろうか?


無意識に手を伸ばして開けようとするとそれを彼女が止めて「今開けるから」と言ってポケットから鍵を取り出した。


鍵をかけるなんてどれほど高価なものを置いているのだろうか…なんて考えてしまうのは1年間ホームレスと同じようなことをした私の悪い癖だ。


鍵穴に指したそれを回すと子気味のいい音が響いてそのドアが開けられることがすぐにわかる


そして私よりもドアノブを握ってその部屋を見せてきたのは彼女だった



「じゃじゃーん!


すごいでしょ?私の部屋!」














目を疑った



どうしてそんなにヘラヘラと笑っていられるのだろう



思い出すだけでも震えが止まらなくなる



鼻を刺激する鉄の匂い


壁にかけられたいくつもの刃


そして人を拘束するためだけに作られた固定具



その時になってようやく理解したのだ





彼女は…異常者なんだと

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