都への道

 そして、とうとう、ナギたちはたどり着いた。


 都が見える位置まで。


 大きい、それまでの砦や城とは比べ物にならない。これではいくらメテオ改でも潰すことはできないだろう。


 都を中心として、その周りには、家畜としての人間の村が密集している。都には魔人が9,000匹に亜人が5,000人いると言われている。また都にも奴隷の人が数万人いる。


 食用人間は、奴隷の人によって日々殺され、食肉加工され、都に送られている。


 ナギたちがボロ布を身にまとい、村を通り抜けると、裸にされて処刑を待つ人々が列を作っていた。


 まだ、10歳くらいの子どももいる。


 裸の女の子がいつまでも泣いていると、裸の男の子がなぐさめる、どうやら兄妹のようだ。


 処刑なんて、されたら痛くもないんだから、などという会話が聞こえてくる。


 執行人は、そういったあらゆる感情を無視して、首を落としていく。


 血だらけの処刑場。


 25歳までの裸の男女が次々に食肉に変えられていく。


 さきほどの子どもたちの番になった。


 お兄ちゃんは、大丈夫だからと最後まで言って首を刎ねられる。


 お兄ちゃんの首が転がる。


 それを見て、さらに泣き叫ぶ少女。


 執行人が、少女の髪の毛を掴んで無理やり処刑場まで持っていき、首を刎ねる。


 少女の首も転がる。




 カースは悔しかった。怒りで肩が震えた。


 それでも、見ないふりをして、村を通り抜ける。


 アデラも歯を食いしばっていた。


 ただ、ナギは表情が見えなかった。




 凄惨な光景が続く周辺の村を抜けると、都の入り口が見える。


 ナギは倒すべき、魔王のいる都。


 カースから見れば、人類の敵の本拠地。


 アデラからすれば故郷。


 そんな、都に3人は足を踏み入れた。

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