魔王の姫が家出をすると世界のバランスが崩れるか？～魔人の支配する世界で家畜となった人類の行く末～

メテオ改発動

　ナギが恐れていた通りだった。

　城の下層にいた人間は、中層から降りてきた巨人型魔人に殺されていく。

　巨人からすれば、なでるくらいの一撃で人の体は破裂する。

　赤ん坊は、丸のみにされる。

　成人男性は巨人の一撃で破裂するように砕け散る。

　成人女性は犯されながら腹が裂けて息絶える。

　子どもは踏みつぶされて殺される。

　城の下層は、人の血、血、血でいっぱいになっている。

　カースとアデラに助けられた少女は、最後までもらったマントを手放さなかった。神様がくれたマント。

　マントを握りながら、巨人に殴られ、絶命していた。

　5,000人いた人間は皆殺しにされていた。

　ナギ達は、3時間後それを確認すると、一度撤退した。

　条件は整った。もしかするとナギはこうなることを見越して、魔力を温存していたのか。

　城が、遠くに微かに見える程の位置まで距離を取ったナギ達はメテオ改の詠唱に入る。

　きらめく魔力の奔流がナギを包む。

　圧倒的な魔力。

　これまでもナギの近くにいたが、これほどの魔力は見たことがない。

　地上と天空に魔法陣が描かれる。

　圧倒的な力を感じる。これがワンサウザントマスターと呼ばれる男なのか。

　ナギは本当に人間なのか、疑いたくなる。

　詠唱は2時間かかった。

　そして、最後にナギは両手を大きく空に向ける。

　メテオ改

　信じがたい破壊力を秘めたそれは、城へ向かって、墜ちる。

　次の瞬間。

　城は、消滅した。