メテオ改

 3人が南へと進むにあたって、どうしても避けて通れない場所に城がある。


 かなり大きい城で、魔人が500匹、亜人が300人奴隷兼食用の人間が5,000人ほどいると見られる。


 アデラの話によると、この城のボスはかなり強く、都を中心にした東西南北4つの城の城主4匹の中では、一番手ごわいということだ。250年前の最終戦争でも活躍したらしい。アデラの父の血族でもあり、魔術と武術を使えるという。


 名前をクシャルという。


 そして、クシャルには副官が2名いて、双剣使いの亜人ミッシ、身長3メートル近い巨人のゴワンダも今までの魔人や亜人とは比べ物にならないほどの強さだという。


 


 この城攻略のために、ナギはメテオの殺傷能力を高めた魔法、メテオ改を使うつもりだ。


 隕石をただ、落とすのではなく、地上に落ちる直前に数十万の破片に割って落とす。


 おそらく、メテオ改を落とせば城の周りの人は全員死ぬであろう、魔人や亜人でも7割は削れるはずだ。



 いくら、戦いとはいえ、人間を全て犠牲にしてしまってもいいのか、カースには疑問だった。


 ただ、ここで城を叩かなければナギ達はこれ以上進めない。


 カースやアデラが飛び込んで行って各個撃破することも考えられるが、それはあまりにも無謀だ、ここでは、カースやアデラの命と城にいる人の命は平等ではなかった。


 それでも、砦を解放した時の人たち、子どもたちの姿を見ると、やはりカースは進言せざるを得なかった。



 「俺が500匹、斬ります。メテオ改は落とさないでください」


 「カースは半分でいい、私が250匹倒そう」アデラも、付け加えてくれた。


 ナギは黙って考え込む。


 「ここで、メテオ改を使うことは都を攻めるときのデータ収集にもなるのだが」


 「ここで俺が仮に250匹斬れば、俺の力はさらに上がります、都では9000匹の魔人を斬ります、メテオ改は封印してください」


 「甘いな、カース、それで魔人に勝てると思うのか?」


 「そうかもしれません、でも、俺は、どこまでも人間として魔人と戦いたいんです」


 「そうか・・・」


 「もし、俺が倒れたら、その時はナギがやってくれてかまいませんから」


 「その時は手遅れになっているかもしれんぞ」


 「でも、人殺しは、だめです、ラーナに合わせる顔がありません」


 「分かった、メテオとメテオ改は人間がいるところでは使用しない」


 「すみません、ナギ、俺」


 「いや、大丈夫だ、大人になったな、カース」


 3人は改めて攻城のための作戦を練り直した。

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