バカだから
藤村 「俺はバカだから難しいことはわからねえんだけどよ、人権ってのは好き嫌いじゃなくて気持ち悪いやつにも犯罪者にもあるんじゃねーの?」
吉川 「おぉ! 確かにそうなんだよ。バカなんかじゃないよ。ちゃんと本質をついてる」
藤村 「そう? まぁ、俺はバカだから難しいことはわからねえんだけどさ、あとそういうやつらにはさ、ちん毛もあるよね。人権と似てるし」
吉川 「紛うことなきバカなことを言ったな。バカというレッテルに恥ずかしくないバカの発言だ」
藤村 「俺はバカだから難しいことはわからねえんだけどよ、チン権ってのもあるんじゃねえの? ちんこを出す権利」
吉川 「ないよ! バカだなぁ。最初のまぐれは何だったんだ。ちんこを出す権利なんてあるわけないだろ! 出してどうするんだよ!」
藤村 「でも俺はバカだから難しいことはわからねえんだけどよ、誰も見てないところじゃちんこ出してもいいんじゃねえかな?」
吉川 「バカなりに理屈をこねたなー。たしかにそれはそうだけど。目的がバカだろ。出すことに意味があるか? 出したいのか?」
藤村 「俺はバカだから難しいことはわからねえんだけどよ、出したい出したくないとかじゃなくて、出す権利自体は保証されてなきゃなんねんじゃねーの? 人権みたいに」
吉川 「バカなことをバカじゃない角度から刺してきたな。確かに人権はするしないとかそういうことを問題とせず権利として保証することだけど。こんなバカなことに引用されるのムカつくな。バカなんだからちゃんとバカの見解で統一しろよ」
藤村 「俺はバカだから難しいことはわからねえんだけどよ、結局ちんこって出していいってことじゃねえの?」
吉川 「バカだなぁ! 痛快なバカだな。いいわけないだろ! 犯罪だよ! 猥褻だから! 公衆の場で出すことは許されません」
藤村 「でも俺はバカだから難しいことはわからねえんだけどよ、誰も見てなかったらワンちゃんありなんじゃね?」
吉川 「その仮定はなんなんだよ! 確かに家の中とかならしょうがないよ。別に出したくて出してる人はいないだろうけど」
藤村 「俺はバカだから難しいことはわからねえんだけどよ、たとえ渋谷のスクランブル交差点でもタイミングよく誰も見てなかったらその瞬間はディスティニーじゃね?」
吉川 「なんだよ、ディスティニーって! バカは底がないな。誰も見てない、今だ、サッ! って出すの? そんな街の人混み肩がぶつかって一人ぼっちみたいな瞬間に微笑みの爆弾を爆発させてるやついないだろ!」
藤村 「俺はバカだから言ってる意味がわからないけど」
吉川 「いいんだよ、わからなくても。バーカ!」
藤村 「俺はバカだから難しいことはわからねえんだけどよ、誰も見てなかったら出してるか出してないかわからないから、シュレディンガーのちんこになるんじゃね?」
吉川 「バカは好きだな、シュレディンガーの猫が。唯一知ってる賢そうな言葉だから。エルヴィン・シュレーディンガー先生もちんこ出してるか出してないかの話題に持ってこられるとは草葉の陰で泣いてるよ」
藤村 「俺はバカだから難しいことはわからねえんだけどよ、ちんこ出してるのを見られる恥ずかしさが快感なんじゃなくて、見られてるかもしれないというドキドキ感が快感なんじゃねーのかな」
吉川 「発言内容はバカなのに妙に的を射てるというか、変態への解像度が高いな。そうなのか。今聞いててなるほどって思ってしまったよ。完全にバカの発言なのに」
藤村 「俺はバカだから難しいことはわからねえんだけどよ、っつーことは物理的にちんこを外に出さなくても形而上のちんこを出してる感覚で過ごしていれば背徳感は得られるってことなんじゃねーの?」
吉川 「お前本当はバカじゃないだろ? いや、バカだけど!」
暗転
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